Q.
私は米国人(永住者)ですが、この度、米国の親会社から付与されていたストック・オプションを権利行使し、行使益を米国で確定申告し税金を納めました。
米国で納めたこの税金は、日本で外国税額控除の対象となるでしょうか。
A.
米国人であるあなたが、米国のストック・オプション行使益に係る税金を納めても、日本の確定申告で外国税額控除の適用はありません。
日米租税条約第23条第3項(a)では、合衆国市民でもある日本の居住者に対する日本の外国税額控除の適用に当たって考慮すべき外国所得税の範囲は、その者に対する市民権課税による所得税額ではなく、その者が市民でないとした場合に合衆国が日本の居住者に対して本条約に基づいて課すことができる所得税額を限度とすれば足りるとされています。
この条約を踏まえ国内法では、居住者の所得に対して課される外国所得税の額で、租税条約の規定において外国税額控除の計算に当たって考慮しないものとされるものは、控除対象外国所得税の額(所法951)に含まれないものとされています(所令222の2④五)。
さらに、日米租税条約第23条第3項(b)では、合衆国における外国税額控除の適用は、合衆国は、同条第3項(a)に規定する控除を行った後の日本の所得税額を合衆国の所得税額から控除することを認める。そのようにして認められた控除は、同項(a)の規定に従って日本において控除される合衆国の所得税額を減額させないとしています。
そして、日米租税条約第23条第3項(c)は、合衆国市民が日本で所得税を課された合衆国源泉所得については、(b)の規定に従って米国において外国税額控除を認める場合には、(a)に規定する所得を米国の国外所得とみなすとしています。
以上のことから、あなたのストック・オプションに係る合衆国における市民権課税により課される所得税は、その者が合衆国市民でないとした場合に、合衆国が日本の居住者に対して本条約に基づいて課すことができる所得税額ではないため、外国税額控除については日本ではなく米国で受けることとなります。