雇用した外国人労働者が、期待していたほどの能力がなく、給料に見合わないため、辞めさせたい場合、普通解雇することはできるのでしょうか?
雇用した外国人労働者が、期待していたほどの能力がなく、給料に見合わないため、辞めさせたい場合、諸般の事情を勘案した上で、解雇を正当化するほどの内容・程度のものである場合に限り、解雇することができます。
解雇権濫用について
解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、または社会通念上相当であると認められない場合には、その権利を濫用したものとして無効となります(労契法16条)。
そして、能力不足や協調性欠如、勤務成績不良等を理由とする解雇が濫用になるか否かは、以下の事項を総合的に検討して判断されます。
①当該企業の種類
②規模
③職務内容
④労働者の採用理由(職務に要求される能力、勤務態度がどの程度か)
⑤勤務成績、勤務態度の不良の程度(企業の業務遂行に支障を生じ、解雇しなければならないほどに高いかどうか)
⑥その回数(1回の過誤か、繰り返すものか)
⑦改善の余地があるか
⑧会社の指導があったか(注意・警告をしたり、反省の機会を与えたりしたか)
⑨他の労働者との取扱いに不均衡はないか
これらの事情を総合的に判断した上で、裁判所は、一般的に、解雇の事由が重大な程度に達しており、他に解雇回避の手段がなく、かつ労働者の側に宥恕(ゆうじょ)すべき事情がほとんどない場合に解雇を認めています。
このような厳格な判断傾向は、長期雇用システム下にあって、勤続を続けていく正規従業員について、典型的にみられます。
他方で、上級の管理者、技術者、営業社員などが、高度の技術・能力を評価されて、特定のポスト・職務のために即戦力として中途採用されたものの、その期待の技術・能力を有しない場合には、その判定が公正になされ、改善の機会を与えるなどの配慮をしている限り、解雇事由の存在を認める傾向にあるとされています。
解雇通知書の例(勤怠不良、勤務成績不良)
○年○月○日
○○ ○○殿
解雇通知書
○○○○株式会社
人事部長○○ ○○ 印
貴殿は、かねてから・・・・・・・・等その勤務態度は著しく不良で、また、・・・・・・等その勤務成績も著しく不良であり、当社○○が○年○月○日に口頭で指導し、同年○月○日付「注意書」により文書で注意するなど別紙記載のとおり、再三にわたり口頭及び文書で改善するよう注意・指導してきましたが、何らその改善は見られず、改善の見込みがないと判断せざるを得ません。
よって、就業規則第○条「・・・・・・・・」に基づき、貴殿を○年○月○日付で解雇します。
なお、解雇予告手当は本日貴殿の給与振込口座に支払っていますので、ご確認ください。
以上
※別紙は略
懲戒処分通知書の例(諭旨解雇)
○年○月○日
○○ ○○殿
懲戒処分通知書
○○○○株式会社
人事部長○○ ○○ 印
貴殿に対して、就業規則第○条に基づき、下記のとおり懲戒処分を科すことが決定しましたので、通知します。
記
1.懲戒処分内容諭旨解雇
○年○月○日付をもって、懲戒解雇とします。
ただし、○年○月○日までに、貴殿の意思により退職願を記載し、人事部長へ提出することにより、○月○日をもって、退職とする。退職に際しては、社内規定に従い退職金の一部を減額して支給します。
2.懲戒事由
就業規則第○条第○項第○号違反
具体的には、○○○○○○○○。
以上
解雇理由証明書の例
解雇理由証明書
○○ ○○殿
当社が、○年○月○日付であなたに予告した解雇については、以下の理由によるものであることを証明します。
〇年〇月〇日
事業主氏名又は名称 ○○○○株式会社
使用者職氏名 ○○ ○○ 印
解雇理由
1.天災その他やむを得ない理由(具体的には、○○によって当社の事業の継続が不可能となったこと。)による解雇
2.事業縮小等当社の都合(具体的には、当社が、○○となったこと。)による解雇
3.職務命令に対する重大な違反行為(具体的には、貴殿が○○○○)による解雇
4.業務について不正な行為(具体的には、貴殿が○○)による解雇
5.勤務態度又は勤務成績が不良であること(具体的には、貴殿が○○○○)による解雇
6.就業規則第○条に該当もしくは違反したこと(具体的には、あなたが○○に違反したこと)による解雇
7.その他(具体的には、○○○○)による解雇
以上