外国人労働者が有罪判決を受けたため、懲戒解雇した場合、外国人労働者に対して退職金を支払わなくても大丈夫でしょうか?

外国人労働者が有罪判決を受けたため、懲戒解雇した場合、外国人労働者に対しての退職金については、退職金規程を踏まえた上で、慎重な判断が必要です。

懲戒解雇と退職金

退職金については、退職金規程等の定めに従う必要があります。

ただし、退職金規程において、懲戒解雇の場合に退職金の全部または一部を不支給とすることができる旨定められている場合であっても、退職金の全部または一部の不支給については慎重に検討する必要があります。

退職金の不支給が認められる場合

すなわち、懲戒解雇の場合も、退職金の減額については、裁判例上、退職金の功労報償的な性格から、労働者のそれまでの勤続の功を抹消(全額不支給の場合)ないし減殺(一部不支給の場合)してしまうほどの著しく信義に反する行為があった場合に限られるとされています。
(日本高圧瓦斯工業事件・大阪高判昭59・11・29、小田急電鉄事件東京高判平15・12・11等)

小田急電鉄事件では、勤続約20年の鉄道会社の従業員が度重なる他社の電車内での痴漢行為を理由に懲戒解雇され、退職金も不支給とされた事案で、3割の限度で支給を命じました。