外国人労働者を就労させるにあたって、安全面ではどういった点に配慮をする必要があるのでしょか?

外国人労働者を就労させるにあたって、安全配慮義務の留意点として、外国人労働者が理解できる言語、方法により安全教育等を行う必要があります。

会社は外国人労働者に対して安全配慮義務を負う

労契法5条では、「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。」とされており、外国人であっても、日本国内における労働であれば、当然に、会社は外国人労働者に対して安全配慮義務を負います。

また、外国人雇用管理指針においては、安全衛生の確保に関して、以下のことが求められています。

①安全衛生教育の実施
②労働災害防止のための日本語教育等の実施
③労働災害防止に関する標識、掲示等
④健康診断の実施等
⑤健康指導及び健康相談の実施
⑥母性保護等に関する措置の実施
⑦労働安全衛生法等関係法令の周知

外国人雇用管理指針(抜粋) 第四、三 安全衛生の確保

1 安全衛生教育の実施

事業主は、労働安全衛生法等の定めるところにより、外国人労働者に対し、安全衛生教育を実施するに当たっては、母国語等を用いる、視聴覚教材を用いる等、当該外国人労働者がその内容を理解できる方法により行うこと。
特に、外国人労働者に使用させる機械等、原材料等の危険性又は有害性及びこれらの取扱方法等が確実に理解されるよう留意すること。

2 労働災害防止のための日本語教育等の実施

事業主は、外国人労働者が労働災害防止のための指示等を理解することができるようにするため、必要な日本語及び基本的な合図等を習得させるよう努めること。

3 労働災害防止に関する標識、掲示等

事業主は、事業場内における労働災害防止に関する標識、掲示等について、図解等の方法を用いる等、外国人労働者がその内容を理解できる方法により行うよう努めること。

4 健康診断の実施等

事業主は、労働安全衛生法等の定めるところにより、外国人労働者に対して、健康診断、面接指導及び心理的な負担の程度を把握するための検査を実施すること。
実施に当たっては、これらの目的内容を母国語等を用いる等、当該外国人労働者が理解できる方法により説明するよう努めること。
また、外国人労働者に対し、これらの結果に基づく事後措置を実施するときは、その結果並びに事後措置の必要性及び内容を当該外国人労働者が理解できる方法により説明するよう努めること。

5 健康指導及び健康相談の実施

事業主は、産業医、衛生管理者等を活用して、外国人労働者に対して、健康指導及び健康相談を行うよう努めること。

6 母性保護等に関する措置の実施

事業主は、女性である外国人労働者に対し、労働基準法、男女雇用機会均等法等の定めるところにより、産前及び産後休業、妊娠中の外国人労働者が請求した際の軽易な業務への転換、妊産婦である外国人労働者が請求した場合の時間外労働等の制限、妊娠中及び出産後の健康管理に関する措置等、必要な措置を講ずること。

7 労働安全衛生法等の周知

事業主は、労働安全衛生法等の定めるところにより、その内容について周知すること。
その際には、分かりやすい説明書を用いる、母国語等を用いて説明する等、外国人労働者の理解を促進するため必要な配慮をするよう努めること。

以上のように、外国人労働者が理解できるように、当該労働者の理解できる言語、方法により、上記措置を取ることが求められており、上記措置が取られていない、あるいは不十分である場合、労働災害等が起きた際には、安全配慮義務違反である等として、会社が損害賠償責任を負う可能性があります。