社会保険が適用されていた外国人が退職した場合、社会保険料の払戻しを受けられることはありますか?
当社に平成2017年10月1日から2019年10月15日まで勤務し、2017年10月から2019年9月まで2年間社会保険に加入し、社会保険料を負担していた中国人労働者が、退職により中国に帰国することになりました。社会保障協定による期間通算もなされず、年金の納付期間が10年に満たないため、老齢厚生年金は受給できませんが、社会保険料は払い損になってしまうのでしょうか。
年金の納付期間が10年に満たないまま出国する外国人は、脱退一時金として保険料の一部の支給を受けることができます。
国民年金、厚生年金では、被保険者の老齢、障害、死亡に対してそれぞれ老齢基礎年金、障害基礎年金、遺族基礎年金ないし老齢厚生年金、障害厚生年金、遺族厚生年金が支給されます。
障害基礎年金、遺族基礎年金ないし障害厚生年金、遺族厚生年金には加入期間の要件はありませんが、老齢基礎年金ないし老齢厚生年金の受給には、保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が10年以上必要とされているので(国民年金法26条、厚生年金保険法42条2号)、帰国した場合に支払った保険料が無駄にならないかという問題が出てきます。
国民年金の脱退一時金制度の適用を受ける要件は以下のとおりです。
1第1号被保険者*(任意加入被保険者も含む)期間が6か月以上あること
・保険料納付済期間の月数
・保険料4分の1免除期間の月数×4分の3
・保険料半額免除期間の月数×2分の1
・保険料4分の3免除期間の月数×4分の1
2日本国籍を有しないこと
3老齢基礎年金の受給資格期間を満たしていないこと
4国民年金の被保険者でないこと
ただし、以下のいずれかに該当した場合は脱退一時金を請求することはできません。
①国民年金の被保険者となっているとき
②日本国内に住所を有するとき
③障害基礎年金などの年金を受けたことがあるとき
④最後に国民年金の資格を喪失した日から2年以上経過しているとき(ただし、資格を喪失した日に日本国内に住所を有していた人は、同日後に初めて、日本国内に住所を有しなくなった日から2年を起算します)
*「第1号被保険者」
日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満の者であって、第2号被保険者、第3号被保険者でない者(自営業者、農業・漁業者、学生および無職の者とその配偶者等)
「第2号被保険者」
厚生年金保険や共済組合等に加入している会社員や公務員(65歳以上の老齢基礎年金などを受ける権利を有している者を除きます。)
「第3号被保険者」
第2号被保険者に扶養されている配偶者で、原則として年収が130万円未満の20歳以上60歳未満の者
厚生年金保険の脱退一時金制度の適用を受ける要件
厚生年金保険の脱退一時金制度の適用を受ける要件は以下のとおりです。
1厚生年金保険共済組合等の加入期間の合計が6か月以上あること
2日本国籍を有しないこと
3老齢厚生年金などの年金の受給権を満たしていないこと
ただし、以下のいずれかに該当した場合は脱退一時金を請求することはできません。
①国民年金の被保険者となっているとき
②日本国内に住所を有するとき
③障害厚生年金などの年金を受けたことがあるとき
④最後に国民年金の資格を喪失した日から2年以上経過しているとき(ただし、資格を喪失した日に日本国内に住所を有していた人は、同日後に初めて、日本国内に住所を有しなくなった日から2年を起算します。)
脱退一時金の請求をするためには、日本年金機構に対して脱退一時金請求書と必要書類を送付する必要があり、各国語版の請求書等の資料は日本年金機構のホームページから入手できます。