外国人労働者が同僚からセクハラを受けていると相談を受けた場合、どのように対応をしたらよいのでしょうか?
外国人労働者が同僚からセクハラを受けていると相談を受けた場合、事案に係る事実関係を迅速かつ正確に確認し、被害者に対する配慮のための措置を適正に行うなどの対応が必要となります。
セクハラとは
セクハラとは、セクシュアルハラスメントの略で、セクハラは、「対価型」と「環境型」に分類されます。
①「対価型」
職場において、労働者の意に反する性的な言動が行われ、それを拒否する等の対応により、解雇、降格、減給等の不利益を受けること
職場における性的な言動(性的関係の強要、腰・胸等を触る等)に対する労働者の対応により、当該労働者が解雇、配転や労働条件につき不利益を受けることをいいます。
②「環境型」
性的な言動が行われることで職場の環境が不快なものとなったため、労働者の能力の発揮に悪影響が生じること
職場における性的な言動(当該労働者に関する性的な情報の流布、ヌードポスターの掲示等)により労働者の就労環境が害される(苦痛、就業意欲の低下、仕事が手につかない等)ことをいいます。
「事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置についての指針」
(平成18年厚生労働省告示第615号)
セクハラに関する相談を受けた場合の基本的な対応
①事案に係る事実関係を迅速かつ正確に確認すること
相談者、行為者とされる者、必要に応じて第三者へのヒアリング等を行う。
ヒアリングの際には、メール、ライン、着信履歴等の客観的証拠の提出を受け、事実の調査を行う。
②調査した事実を踏まえ、上記のセクハラの要件に該当するかを検討し、セクハラが生じた事実が確認できた場合、被害者に対する配慮のための措置を適正に行うこと
事案の内容や状況に応じ、関係改善のための援助、被害者と行為者を引き離すための配置転換、行為者の謝罪、労働条件上の不利益の回復、メンタル不調への相談対応等を行う。
③セクハラが生じた事実が確認できた場合、行為者に対する措置を適正に行うこと
就業規則等に従った適切な措置(行為者の懲戒処分、配置転換等)等を行う。
④再発防止措置を取る
セクハラを行ってはならない旨の方針、厳正に対処する旨の方針を社内報、パンフレット等の配布等、定期的な研修、講習の実施等を行う。
セクハラに関する対応の留意点
パワハラは業務上の注意指導の延長として行き過ぎてしまうということがあり、態様が不適切であるとしても一定の理解ができる場合があります。
一方で、セクハラの場合は、そのような場合を観念し難く、事実が明らかになった場合には、厳正に対処する必要性が高いと思われます。
また、外国人労働者との間の文化や価値観の違いによって、安易な言動で、セクハラと取られる場合もあります。
外国人労働者に限らずですが、プライベートについての質問や誘い、年齢を聞く、女性だからとお酌をさせる、ボディタッチをする、誕生日にプレゼントを渡す等、不適切と捉えられかねない言動を行わないことが大切です。