Q.
内国法人に勤務し給料をいただいている外国人ですが、税金の計算に当たり、期間按分が必要と聞いたことがあります。
どのような場合に必要なのか教えてください。

A.
1 永住者、非永住者、永住者の課税所得の範囲は、次のとおりです。

・永住者

①国内源泉所得
②国外源泉所得 (すなわち全ての所得)

・非永住者

①国外源泉所得以外の所得(注)
②国外源泉所得で国内において支払われたもの
③国外源泉所得で国外から送金されたもの

・非居住者

国内源泉所得のみ

(注)平成26年度税制改正で、非永住者の課税所得の範囲の定義①の部分が、「国内源泉所得」(旧所法7①二)から「国外源泉所得以外の所得」(所法7①二)と改正されました(旧所法7①二)。この改正は、外国税額控除における国外源泉所得の範囲が明確化されたことに伴うものです(所法95④)。なお、この改正は、平成29年分以後の所得税について適用し、平成28年分以前の所得税については、従前どおりとされています(平26法10改正附則3③)。

さらに、平成29年度税制改正で、非永住者1の部分が「国外源泉所得(国外にある有価証券の譲渡により生ずる所得として政令で定めるものを含む)以外の所得」と改正されました(所法7二)。この改正は、平成29年4月1日以後に行う有価証券の譲渡により生ずる所得について適用し、平成29年3月31日以前に行った有価証券の譲渡により生ずる所得については、従前の例によるとされています(平29法4改正附則2)。

2 非居住者は、国内源泉所得のみが課税の対象となりますので、勤務が国内と国外にわたる場合は、期間按分計算が必要になります。
勤務が国内及び国外の双方にわたって行われた場合、次の算式により計算することとなります(所基通161-41)。

給与又は報酬の総額×(国内において行った勤務又は人的役務の提供の期間/給与又は報酬の総額の計算の基礎となった期間)

3 非永住者は、国外源泉所得で国内において支払われたもの及び国外源泉所得で国外から送金されたものが課税の対象になるので、国内源泉所得と国外源泉所得を区分するため期間按分計算が必要になります。

4 永住者は、国内源泉所得及び国外源泉所得のすべてが課税されるので、基本的には期間按分計算は必要ありませんが、国外源泉所得があり外国税額控除を受ける必要がある場合は、国外源泉所得を算出するために期間按分計算が必要になってきます。