Q.
私は米国人(永住者)ですが、米国に中古の賃貸建物があり、毎年、給与所得とともに確定申告しています。
2020年度の税制改正で、国外中古建物の不動産所得について改正があったと聞いています。
詳しい内容を教えていただけますでしょうか。

A.
2020年度の税制改正で、国外中古建物の貸付けにより損失が生じた場合で、耐用年数を簡便法等で行っているときは、減価償却費に相当する額については、損失が生じなかったものとみなされ、その部分は他の所得(本問の場合は給与所得)と損益通算することができなくなりました。

この改正は、2021年分以後の所得税から適用されます。

1. 2020年度税制改正により、国外不動産所得の計算を行う上で、減価償却費の計算にあたり、耐用年数を簡便法、あるいは使用可能期間の見積りが適当でない方法により行っていた場合は、国外不動産所得の計算上生じた損失はなかったものとみなされます(措法41の4の3①、措令26の6の3①一)。

したがって、その部分の損失は、給与所得と損益通算できません。

ただし、損益通算できないのは、あくまでも簡便法等の耐用年数により生じた部分だけですので、それ以外の部分の損失については、給与所得と損益通算できます。

2. 国外中古建物が複数ある場合は、建物ごとに計算します(措令26の6の3③一)。

なお、国内の不動産から生じる不動産所得との内部通算もできません。

3. 1の適用を受けた国外中古建物を譲渡した場合、取得費の計算にあたっては、当該特例の規定により生じなかったものとみなされた損失は、取得費として計上できることとされています(措法41の4の3③、措令26の6の3④)。