外国人労働者に、職務内容または勤務地を相当の期間にわたって変更する等の配転を命じることはできるのでしょうか?

就業規則や雇用契約書上、配転の規定があれば、外国人労働者にも配転を命ずることは可能です。但し、権利濫用とならないかについて検討をした上で、配転を行うかどうかについて決める必要があります。

就業規則等に規定があれば配転は可能

就業規則や雇用契約書上、配転の規定があれば、外国人労働者にも配転を命ずることは可能です。

多くの会社の就業規則には、「会社は、業務上必要がある場合に、労働者に対して就業する場所および従事する業務の変更を命ずることがある。」等、配転を命ずる規定が置かれています。

このような規定があれば、雇用契約書等で職種や勤務地を限定した個別の合意がない労働者については、権利濫用といえる理由がない限りは、配転が認められます。
配転の業務上の必要性と配転による労働者の職業上ないし生活上の不利益を比較し、その不利益が不釣合に大きい場合には権利濫用となります。

配転に関する日本と外国の認識の差

なお、日本では長期雇用を背景として、会社に配転に関する裁量が幅広く認められる傾向にありますが、特に欧米では、職務や勤務地を限定して労働契約を結ぶことの方が多いため、外国人労働者が配転を命じられることについて、認識をしていない場合があります。

そのため、配転の可能性がある場合には、紛争化することを防止するため、職務の範囲や転勤先等について、入社時に説明の上、かつ雇用契約書等の書面に明記しておく必要があります。

また、配転を行うにあたっては、家族の育児、介護(育介法26条)やワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)の観点からも配慮を行う社会的要請が強くなってきていますので、このような配慮を行い、権利濫用とならないかについて検討をした上で、配転を行うかどうかについて決める必要があります。