Q.
外貨建取引を行った場合の円換算について教えてください。

A.
個人が外貨建取引を行った場合の円換算は、原則として、取引を計上すべき日における電信売相場(TTS)と電信買相場(TTB)の仲値(TTM)により行います。

個人の者が、外貨建取引を行った場合の円換算レートは、次のとおりです。

・原則

TTM(所基通57の3-2)

ただし、次の方法をとることもできます。

・株式譲渡

収入はTTB、取得費はTTS(措通37の10・37の11共-6)

・不動産所得・事業所得・雑所得山林所得

原則はTTM。
ただし、継続適用を条件として、収入・資産についてはTTB、仕入・必要経費・負債についてはTTSも可(所基通57の3-2ただし書)。

国外において不動産所得、事業所得、山林所得、雑所得を生ずる個人で、その業務について損益計算書、収支内訳書を外国通貨表示で作成している場合は、その年の年末における為替相場により換算することができます(所基通57の3-7)。

この邦貨換算に当たっては、継続適用を条件として、その年の電信売買相場の仲値(TTM)、電信買相場(TTB)、電信売相場(TTS)の年平均値を使用して換算することができます(所基通57の3-7注書)。

・不動産譲渡

原則はTTM。
ただし、譲渡代金として受領した外国通貨を直ちに売却し本邦通貨としている場合、収入はTTBで、本邦通貨により外国通貨を購入し直ちに取得費・譲渡費用に充てている場合は、取得費・譲渡費用はTTSも可(所基通57の32注書4)。

・給与所得利子所得・配当所得

TTM(所基通57の3-2)

換算する日は、その取引を計上すべき日の為替相場(所基通57の3-2)

円換算に係る日に為替相場がない場合

同日前の最も近い日の為替相場(所得税基本通達57の3-2注書き3(1))

例えば、2020年3月28日(土)は為替相場がありませんので、2020年3月27日(金)の為替相場の数値により換算します。

参考

円換算にどのレートを採用するかによって、どのような違いが生じるのでしょうか?

例えば米ドルの場合、為替手数料はTTST、TBそれぞれTTM±1円です(為替手数料は通貨により異なります)。

TTMが100円とすると、TTSは101円、TTBは99円となります。

収入はTTB、必要経費はTTSを採用することにより、収入及び必要経費ともTTMを採用した場合に比べ、所得金額が少なく計算されることとなります。