Q.
外国人社員で母国に扶養親族がいて、毎月生活費を送金している人がいます。
税金上、扶養親族に入れてよいのでしょうか。

非居住者である扶養親族について扶養控除の適用を受けるためには

非居住者である扶養親族について扶養控除の適用を受けるためには、親族関係書類及び送金関係書類を提出又は提示する必要があります。

給与等又は公的年金等の源泉徴収及び給与等の年末調整において、非居住者である親族(以下「国外居住親族」といいます。)に係る扶養控除、配偶者控除、障害者控除又は配偶者特別控除(以下「扶養控除等」といいます。)の適用を受ける居住者は、その国外居住親族に係る「親族関係書類」や「送金関係書類」(これらの書類が外国語で作成されている場合には、その翻訳文を含みます。)を源泉徴収義務者に提出し、又は提示する必要があります(所法120③二、所令262③、所規47の2⑤⑥)。

(注)
確定申告において、国外居住親族に係る扶養控除等の適用を受ける場合にも、「親族関係書類」及び「送金関係書類」を確定申告書に添付し、又は確定申告書の提出の際に提示する必要があります。

ただし、給与等若しくは公的年金等の源泉徴収又は給与等の年末調整の際に源泉徴収義務者に提出し、又は提示したこれらの書類については、確定申告書に添付又は提示を要しないこととされています。

親族関係書類

次の①又は②のいずれかの書類で、国外居住親族が居住者の親族であることを証するものをいいます。

①戸籍の附票の写しその他の国又は地方公共団体が発行した書類及び国外居住親族の旅券(パスポート)の写し

②外国政府又は外国の地方公共団体(以下「外国政府等」といいます。)が発行した書類(国外居住親族の氏名、生年月日及び住所又は居所の記載があるものに限ります。)

(注)
1 親族関係書類は、国外居住親族の旅券の写しを除き、原本の提出又は提示が必要です。

2 ②の外国政府等が発行した書類は、例えば、次のような書類が該当します。

・戸籍謄本・出生証明書・婚姻証明書

3 外国政府等が発行した書類について、一つの書類に国外居住親族の氏名、生年月日及び住所又は居所の全てが記載されていない場合には、複数の書類を組み合わせることにより氏名、生年月日及び住所又は居所を明らかにする必要があります。

4 一つの書類だけでは国外居住親族が居住者の親族であることを証明することができない場合には、複数の書類を組み合わせることにより、居住者の親族であることを明らかにする必要があります。

送金関係書類

次の書類で、居住者がその年において国外居住親族の生活費又は教育費に充てるための支払を必要の都度、各人に行ったことを明らかにするものをいいます。

①金融機関の書類又はその写しで、その金融機関が行う為替取引により居住者から国外居住親族に支払をしたことを明らかにする書類

②いわゆるクレジットカード発行会社の書類又はその写しで、国外居住親族がそのクレジットカード発行会社が交付したカードを提示してその国外居住親族が商品等を購入したこと等により、その商品等の購入等の代金に相当する額の金銭をその居住者から受領した、又は受領することとなることを明らかにする書類

(注)
1 送金関係書類については、原本に限らずその写しも送金関係書類として取り扱うことができます。

2 送金関係書類には、具体的には次のような書類が該当します。

①外国送金依頼書の控え

※その年において送金をした外国送金依頼書の控えである必要があります。

②クレジットカードの利用明細書

※1 クレジットカードの利用明細書とは、居住者(本人)がクレジットカード発行会社と契約を締結し、国外居住親族が使用するために発行されたクレジットカードで、その利用代金を居住者が支払うこととしているもの(いわゆる家族カード)に係る利用明細書をいいます。

この場合、その利用明細書は家族カードの名義人となっている国外居住親族の送金関係書類として取り扱います。

2 クレジットカードの利用明細書は、クレジットカードの利用日の年分の送金関係書類となります(クレジットカードの利用代金の支払(引落し)日の年分の送金関係書類とはなりません。)。

3 国外居住親族が複数いる場合には、送金関係書類は扶養控除等を適用する国外居住親族の各人ごとに必要となります。

例えば、国外に居住する配偶者と子がいる場合で、配偶者に対してまとめて送金している場合には、その送金に係る送金関係書類は、配偶者(送金の相手方)のみに対する送金関係書類として取り扱い、子の送金関係書類として取り扱うことはできません。

4 送金関係書類については、扶養控除等を適用する年に送金等を行った全ての書類を提出又は提示する必要があります。

※同一の国外居住親族への送金等が年3回以上となる場合には、一定の事項を記載した明細書の提出と各国外居住親族のその年最初と最後に送金等をした際の送金関係書類の提出又は提示をすることにより、それ以外の送金関係書類の提出又は提示を省略することができます。

この場合、提出又は提示を省略した送金関係書類については、居住者本人が保管する必要があります。

5 16歳未満の非居住者である扶養親族(扶養控除の対象とならない扶養親族)であっても障害者控除を受ける場合には、親族関係書類及び送金関係書類の提出又は提示が必要です。(参照:国税庁ホームページ)

2020年度税制改正について

2020年度税制改正で、国外扶養親族に係る扶養控除の適用について、次のように国外扶養親族の範囲に関し要件が厳しくなる改正が行われました。

1 国外扶養親族の範囲から、30歳以上70歳未満の者(留学により非居1住者となった者、障害者、その居住者から生活費又は教育費に充てるための支払を年38万円以上受けている者を除く。)は除外されます。

2 留学により非居住者となった者、その居住者から生活費又は教育費に充てるための支払を年38万円以上受けている者に係る扶養控除の適用を受ける場合は、給与等若しくは公的年金等の源泉徴収、給与等の年末調整又は確定申告の際に、一定の書類を提出等又は提示する必要があります。

以上の改正は、2023年1月1日以後に支払われる給与等及び公的年金等並びに2023年分以後の所得税について適用されます。