子どもの国籍決定の原理には、生地主義と血統主義があります。

国籍の生地主義

アメリカ、カナダ、ブラジル、オーストラリアなどの国では、そこで生まれた子どもには、その生まれた国の国籍が与えられます。これを国籍の生地主義と呼びます。

国籍の血統主義

一方、日本では、出生による国籍の取得について国籍法第2条に次のように定められています。

子は、次の場合には、日本国民とする。

一.出生の時に父又は母が日本国民であるとき。

二.出生前に死亡した父が死亡の時に日本国民であったとき。

三.日本で生まれた場合において、父母がともに知れないとき、又は国籍を有しないとき。

このように、父や母から国籍が受け継がれる制度を血統主義と呼びます。

また、父でも母でも、どちらかが日本人であれば、その子は日本国籍としていますので、血統主義の中で父母両系主義になっています。

血統主義の中に一部生地主義的な考えも入っている

血統主義の国籍法でも一部生地主義的な考えが入っています。

たとえば、上記の2条三で「父母が誰か(どこの国籍かも)わからない場合、日本で生まれた者は日本国籍を取得する」ということは、血統ではなく、出生地である日本の国籍を取得できることの規定です。

また、生地主義の国でも、たとえば、アメリカ人が外国である日本で子どもを産んだ場合に、その子にアメリカ国籍が与えられないかというと、必ずしもそうではない規定がついています。

国際結婚で生まれた子どもは、このような事情からほとんどの場合には、日本国籍と他国籍との重国籍者となります。

重国籍者の国籍選択

重国籍者として育った子どもは、20歳までにどちらがの国籍選択しなければならないと、日本の法律で定められています。

そして、法務大臣は、期限内に日本の国籍の選択をしない者に対して、書面により国籍の選択をすべきことを催告することができるとされ、日本国籍が失われるような記述になっています。

実際には、これまでこの催告がれたことはないとの法務省の発言もありますが、このような国籍選択制度が国籍法にあることは事実です。