中国人と日本人が結婚する場合、自分の国のみならず、相手の国の法律についても理解する必要があります。
ここでは、中国と日本の婚姻に関する法律規定についてご説明します。
1.婚姻の実質的要件
⑴婚姻の意思
中国
中国では、結婚について、男女双方の完全に自由な意思によらなければならず、強迫を加えることや第三者が干渉することは許されなとしています。
日本
日本では、当事者間に婚姻の意思がなければ、婚姻届が受理されても、その婚姻は無効となります。
⑵婚姻適齢
中国
男は22歳、女は20歳
日本
男は18歳、女は16歳
20歳未満の中国人女性は、中国では結婚することが出来ませんが、日本では反致により、日本の法律が適用され、結婚する事ができます。
⑶重婚の禁止
中国
中国では、内縁(事実婚姻)も含め重婚を禁止します。
日本
日本では、重婚を禁止しますが、内縁・準婚関係は重婚にあたりません。
⑷近親婚の禁止
中国
中国では、直系血族及び三代(4親等)以内の傍系血族間の婚姻を禁止します。
よって、従兄弟との婚姻はできません。
日本
日本では、3親等内の傍系血族間の婚姻を禁止します。
よって、従姉妹との婚姻はできます。
⑸女性の再婚禁止期間
中国
中国では、女性の再婚禁止期間がありません。
日本
日本では、女性の再婚禁止期間は100日です。
中国人女性は、中国では離婚して100日経過しなくても結婚することができます。
しかし、この場合結、婚の相手が日本人のときは、日本において報告的届出が受理されない可能性があります。
⑹未成年者の婚姻についての父母の同意
中国
中国では、成人年齢が18歳となります。なお、婚姻適齢は「男22歳・女20歳」ですので、父母の同意は不要です。
日本
日本では、未成年者が婚姻する場合、父母の同意が必要となります。
例えば、16歳の中国人女性が日本で結婚しようとすると、日本の法律が適用され、父母の同意が必要となります。
なお、父母の同意を得ていない婚姻届が誤って受理されると、取り消すことが出来なくなります。
⑺結婚すべきでない疾病による禁止
中国
中国では、「医学上結婚すべきではないと認められる疾病に罹患している者」の婚姻を禁止ます。
「婚姻前に上記の疾病に罹患し、婚姻後も未だ治癒されていない場合」に該当する場合、婚姻は無効となります。
日本
日本では、中国の上記のような結婚すべきでない疾病による禁止の規定はありません。
⑻婚姻障害事由がある場合
中国
中国では、婚姻障害事由がある場合、婚姻は無効となります。
日本
日本では、婚姻障害事由がある場合、取消事由とされますが、取消されるまで有効です。
2.形式的要件(婚姻手続き)
ここでは、婚姻の創設的届出についてご説明します。
婚姻の創設的届出とは、外国人配偶者の本国においても、日本においても、婚姻が成立していない場合に、初めて日本の市区町村役場に婚姻の届出をすることを言います。
婚姻当事者の出頭
日本
日本では、婚姻は届け出ることによって、効力を生じます。
婚姻当事者が出頭しなくても、婚姻届を提出すること自体は出来ます。
しかし、外国人配偶者が「日本人の配偶者等」のビザを申請する場合において、当事者が出頭しないでの婚姻手続きは、出入国管理局からすると、婚姻の要性が欠けるように見えます。
よって、配偶者の一方が相手の国に渡航して手続きをするのが望ましいです。
中国
中国では、婚姻手続きをする場合、当事者双方が結婚登記処に出頭しなければなりません。結婚登記をして、結婚証を取得することによって婚姻が成立します
従って、中国式で結婚する為には、日本人配偶者は中国に行く必要があります。