Q.
私(外国人)は、米国法人の日本子会社に2年間勤務し、その間、日本の厚生年金に加入し保険料を支払っていました。帰国後、脱退一時金の申請を行い脱退一時金を受け取りました。
源泉所得税が20.42%引かれていますが、還付を受けることは可能でしょうか。

A.
日本の税務署に確定申告を行い、源泉徴収された税金の還付を受けることができます。

1. 外国人が、厚生年金を脱退し出国した場合、日本年金機構に一定の手続きを行うことにより、脱退一時金を受け取ることができます。

非居住者が受け取る厚生年金の脱退一時金は、「所得税法第30条第1項(退職所得)に規定する退職手当等のうち、その支払いを受ける者が居住者であった期間に行った勤務に基因するもの」(所法161①十二ハ)に該当するので国内源泉所得となり、支給時に20.42%の源泉徴収が行われます(所法164②二、169、170、復興財確法28①②)。

2. 厚生年金の脱退一時金は、厚生年金法の規定に基づく一時金であり、退職手当等とみなす一時金(所法31①一)に該当します。そして、非居住者が受け取る退職所得ですので、退職所得の選択課税を受け(所法171)、税金の還付を受けることができます(所法173)。

3. 退職所得の選択課税による還付申告は、退職金の支給を受けた年の翌年1月1日以後に行うことができますが、同日前に退職手当等の総額が確定した場合には、その確定した日以後に行うことができます(所法173①)。

なお、確定申告を行うに当たっては、非居住者なので、納税管理人を定め、「納税管理人の届出書」を納税者本人の納税地を所轄する税務署に届け出る必要があります(通法117)。

4. 確定申告に当たっては、添付書類が必要になりますが(所令297①、所規71)、具体的には、日本年金機構から送付される「国民年金・厚生年金保険脱退一時金支給決定通知書」あるいはその写しが必要となります。