中国籍の会社役員が帰化申請をする場合の、条件と提出書類について、具体例でご説明します。

家族構成

家族構成-具体例-会社役員の場合

Aさんは、中国生まれの36歳の男性です。6年前に来日して、引き続き日本に住んでいて、現在は、父親(中国人)が日本で経営する会社の取締役をしています。

家族は、両親と弟の4人です。現在は独身ですが、日本人女性と結婚を約束しています。これから、Aさんが日本に帰化する場合を考えてみます。

まず、帰化の条件について確認します。

帰化の条件

①引き続き5年以上日本に住所を有すること

Aさんは、6年間日本に住んでいるので、問題ありません。

②20歳以上で、本国法によって行為能力を有すること

Aさんは、36歳ですので、問題ありません。行為能力について、中国では18歳が成人年齢ですので、問題ありません。

③素行が善良であること

問題ないものとします。

④生計能力

Aさんが取締役をしている会社によりますが、問題ないものとします。

⑤国籍喪失条件

中国の国籍法では、「自己の意思によって外国の国籍を取得した者は、中国の国籍を自動的に失う」となっていますので、問題ありません。

⑥憲法遵守条件

問題ないものします。

以上のことから、Aさんは6つの帰化条件を満たしてします。

提出書類

①作成書類

・帰化許可申請書

・帰化の動機書

・履歴書

・宣誓書

・親族の概要を記載した書面

・生計の概要を記載した書面

・事業の概要を記載した書面

・自宅勤務先等付近の略図

「宣誓書」は法務局の担当官の前で作成しますので、あらかじめ用意する必要ありません。又、「事業の概要を記載した書面」は、Aさんが取締役をしている会社について作成します。

②官公署等から取り寄せる書類

・本国法によって行為能力を有することの証明書

出生証明書を用意します。

・在勤及び給与証明書、最終学校の卒業証明書、中退証明書

在勤証明書、給与証明書、最終学校の卒業証明書(中退であれば中退証明書)を用意します。

・国籍を証する書面

中国の大使館又は領事館から、国籍証明書を発行します。

・身分関係を証する書面

大使館又は領事館から、以下の書類を発行します。

出生証明書

親子関係証明書

Aさんの両親の夫婦関係証明書(日本で婚姻届を出しているときは不要)

又、日本の市区町村役場から、婚約者である日本人女性の戸籍謄本、住民票を取り寄せます。

・住民票、閉鎖外国人登録原票

家族全員の分を用意します。

・納税証明書

税務署、都道府県税事務所、市区町村役場から以下の書類を取り寄せます。

・・Aさんが取締役をしている会社の国税、地方税の納税証明書

・・Aさん及び家族の個人の国税、地方税の納税証明書

・会社の登記事項証明書(登記簿謄本)

Aさんが取締役をしている会社の登記事項証明書(登記簿謄本)を法務局から取り寄せます。

・預貯金の現在高証明書、有価証券保有証明書、不動産の登記事項証明書(登記簿謄本)

Aさん及び家族の預貯金、有価証券、不動産について、銀行、証券会社、法務局等から取り寄せます。不動産や有価証券等がなければ、必要ありません。

・運転記録証明書

Aさんが運転免許をもっている場合、自動車安全運転センターから取り寄せます。

・公的年金関係書類

Aさん及び家族のものを年金事務所から取り寄せます。

③手持ちの書類の写し

・貸借対照表、損益計算書の写し

Aさんが取締役をしている会社の決算報告書の写しを用意します。

・自動車運転免許証等の技能資格証明書の写し

Aさんの自動車運転免許証の写しを用意します。又、何か他の技能資格があれば、その証明書の写しも用意します。

・卒業証書の写し

Aさんの最終学校の分の写しを用意します。

・事業に対する許認可証明書の写し

Aさんが取締役をしている会社が、許認可等の必要な事業を行っている場合、その許認可証明書の写しを用意します。

④その他

法務局から提出・呈示を求められたものがあれば、それを用意します。

会社役員の外国人が帰化する場合の書類のまとめ

それでは、Aさんの必要書類をまとめてみます。

①帰化許可申請書

②帰化の動機書

③履歴書

④親族の概要を記載した書面

⑤生計の概要を記載した書面

⑥事業の概要を記載した書面

⑦自宅勤務先等付近の略図

⑧在勤証明書、給与証明書

⑨卒業証明書

⑩国籍証明書

⑪出生証明書

⑫親子関係証明書

⑬夫婦関係証明書(Aさんの両親の分)

⑭戸籍謄本、住民票(婚約者の分)

⑮住民票、閉鎖外国人登録原票(Aさん一家全員の分)

⑯納税証明書(各種)(Aさん一家全員の分)

⑰会社の登記事項証明書(登記簿謄本)

⑱預貯金の現在高証明書(預貯金がある場合、Aさん一家全員の分)

⑲有価証券保有証明書(有価証券がある場合、Aさん一家全員の分)

⑳不動産の登記事項証明書(登記簿謄本)(不動産がある場合、Aさん一家全員の分)

㉑運転記録証明書(自動車運転免許証がある場合)

㉒公的年金関係書類

㉓会社の決算報告書の写し

㉔自動車運転免許証の写し(ある場合)

㉕卒業証書の写し

㉖その他