自営業の外国人が、家族全員で帰化する場合の、条件と必要書類についてご説明します。書式は各法務局によって、多少異なりますので、注意しましょう。

具体例

自営業の外国人が帰化申請する場合

家族構成

・Aさん

日本生まれ、36歳の韓国籍で、自営業で内科医院を経営している。

・奥さん

同じ韓国籍で、32歳、10年前に日本に来て以来、○○株式会社に勤務している。

・女の子、10歳、日本生まれ

・男の子、8歳 、日本生まれ

Aさん一家が同時に帰化する場合を考えてみます。

帰化の条件について

①引き続き5年以上日本に住所を有すること

・Aさん、奥さんともに問題ありません。

・2人の子供については、両親の帰化が許可される時点で、「日本国民の子(養子を除く。)で日本に住所を有するもの(国籍法8条1号)」に該当するので、問題ありません。

②20歳以上で本国法によって行為能力を有すること

・Aさんは36歳、奥さんは32歳ですので、問題ありません。

・「行為能力を有するということ」については、韓国の場合、20歳が成人年齢ですので、問題ありません。

・2人の子供については、20歳未満でもかまいません(国籍法8条1号)。

③素行が善良であること

問題ないものとします。

④生計能力

Aさんが生計を営める内科医院を経営していますので、問題ありません。

⑤国籍喪失条件

韓国の国籍法は、以下のように定めています。

・自己の志望によって外国の国籍を取得した者」は「国籍を喪失する。

・大韓民国の国籍を喪失した者の…未成年の子は…父の国籍を取得したときは、大韓民国の国籍を喪失する。よって、問題ありません。

⑥憲法遵守条件

問題のないものとします。

以上のことから、6つの帰化の条件を満たしていると考えられます。

必要書類

(1)作成書類

・帰化許可申請書

申請者全員分が必要です。

すなわち、Aさん、奥さん、子供2人の、計4人分です。

・帰化の動機書

15歳未満の人は不要なので、Aさん、奥さんの2人分が必要です。

・履歴書

15歳未満の人は不要なので、Aさん、奥さんの2人分が必要です。

・宣誓書

法務局の担当官の面前で、作成するので、あらかじめ用意する必要はありません。

・親族の概要

Aさん一家の親族(申請者以外の親族)について作成します。

・生計の概要

Aさん一家の生計について作成します。

・事業の概要

事業ごとに作成します。

Aさんの場合、内科医院に関して作成します。

・自宅勤務先等付近の略図

・・Aさん一家の自宅

・・診療所

・・奥さんの勤務先

(2)官公署等から取り寄せる書類

・家族関係登録証明書(韓国の場合)

・本国から書類郵送時の封筒添付

・翻訳文

以上の書類があれば、原則として次の書類が準備できたことになります。

・・本国法によって行為能力を有することの証明書

・・国籍を証する書面

・・出生証明書、婚姻証明書、親族(親子)関係証明書

・・法定代理人の資格を証する書面

・在勤及び給与証明書、最終学校の卒業証明書、中退証明書、在学証明書

・・Aさん

開業医(自営業者)なので、在勤及び給与証明書は必要ありません。

卒業証明書(中退していれば中退証明書)を用意します。

・・奥さん

○○株式会社に勤務しているので、その会社の在勤証明書と給与証明書

最終学校の卒業証明書(中退していれば中退証明書)を用意します。

・・2人の子供

小学校の在学証明書を用意します。

・身分関係を証する書面

・・裁判書、審判書、調停調書の謄本

例えば、Aさんの奥さんが以前、裁判で離婚し、Aさんとは再婚である時等に必要となります。該当事項がなければ必要ありません。

・・日本の戸籍謄本

Aさんも、奥さんも外国人ですので、日本の戸籍謄本はありませんが、親、兄弟姉妹等に帰化した日本人がいたり、又は元日本人であった人がいるときは、その人の戸籍謄本若しくは除籍謄本(帰化しているときは帰化当時のもの)が必要です。

・届出書の写し、記載事項証明書又は受理証明書

Aさんと2人の子供は日本で生まれており、又、Aさ夫婦は日本で結婚したので、市区町村役場での届出書の写し、記載事項証明書又は受理証明書が必要です。

・住民票、閉鎖外国人登録原票

Aさんの家族4人の分が必要です。

・納税証明書

Aさん一家全員に関して、該当する納税証明書が必要です。

・貯金の現在高証明書、有価証券保有証明書、不動産の登記事項証明書(登記簿謄本)

預貯金、有価証券、不動産を所有しているときは必要です。

・運転記録証明書

Aさん又は奥さんが自動車の運転免許証を有している場合に必要です。自動車安全運転センターから取り寄せます。

・公的年金関係書類

Aさんと奥さんに関し必要です。

・自動車運転免許証等の技能資格証明書の写し

・Aさんの場合、歯科医師なので、歯科医師の免許証の写しが必要です

・その他、自動車運転免許証があれば、その写しが必要です。

・確定申告書控えの写し(確定申告をしていれば必要)

・卒業証書の写し(Aさん、奥さんの分)

⑶その他

特に法務局の方から提出・呈示を求められたものを提出します。

書類のまとめ

それでは、Aさん一家の場合の、提出書類をまとめてみます。

①帰化許可申請書(4人分必要)

②帰化の動機書(Aさん、奥さん)

③履歴書(Aさん、奥さん)

④親族の概要

⑤生計の概要

⑥事業の概要

⑦自宅勤務先等付近の略図

⑧韓国の家族関係登録証明書

⑨封筒(⑧の家族関係登録証明書を韓国から郵送してきた際のもの)

⑩日本語訳(⑧の家族関係登録証明書を翻訳したもの)

⑪卒業証明書(Aさん、奥さん)

⑫在学証明書(子供の分)

⑬在勤証明書、給与証明書(奥さん)

⑭届出書の写し、記載事項証明書、又は受理証明書(出生届、婚姻届に関しての分)

⑮住民票、閉鎖外国人登録原票(全員の分)

⑯納税証明書(一家全員の分)

⑰預貯金の現在高証明書(預貯金のあるとき、一家全員の分)

⑱有価証券保有証明書(有価証券のあるとき、一家全員の分)

⑲不動産の登記事項証明書(登記簿謄本)(不動産があるとき、一家全員の分)

⑳運転記録証明書(自動車運転免許証を有する場合)

㉑公的年金関係書類(Aさん、奥さん)

㉒自動車運転免許証の写し(自動車運転免許証を有する場合)

㉓内科医師の免許証の写し

㉔確定申告書控えの写し(確定申告している場合)

㉕卒業証書の写し(Aさんと奥さんの分)

㉖その他(スナップ写真等)