外国人が日本国籍を取得すると、どんなメリットがある?

外国人の方から、「日本国籍を取得すると、どんなメリットがありますか?」と、よく聞かれます。

永住者と日本国籍者のもっとも大きな違いは、永住者は外国籍のままであることです。

日本国籍になると、外国人として持っていた本国のパスポートを利用したり、本国の選挙で投票をしたりという権利はなくなります。

永住者と日本国籍者の比較

以下、外国国籍のまま「永住者」となった場合と、日本国籍者を比較してみます。

①日本人には日本の法令が、外国人には本国の法令が適用される

たとえば、外国人と結婚した日本人女性が再婚する場合、日本の民法上、結婚できない待婚期間である100日を守らなければならないといったことです。

また、相続などでも日本人には日本法の適用があります。

外国人はその所属国の権利義務があり、その国の法令に影響されます。

・所属国での選挙権があります。

・その国での兵役の義務があることがあります。

・たとえ日本に居住していても、所属国での納税の義務などがある場合があります。

・結婚、相続などその国籍国の法律に準拠します。

・国籍がないと、その国の土地を購入したり、保有したりできない国があります。外国人の土地保有禁止の国籍者が日本に帰化する際には、あらかじめ土地を他の者に譲渡しておかなければ、大きな財産を失う危険があります。

②参政権

日本国籍者でなければ、国政、地方選挙に立候補すること、投票するなど政治への参加が原則できません。

選挙運動や政治家への資金提供にも国籍により規制があります。

③日本に居住する権利

日本人は、日本に居住する権利があります。

永住者であっても、外国人の場合には、重大な犯罪を犯せば、国外退去処分(強制送還)を受け、また空港での上陸審査の結果で入国を拒否されることがあります。

日本人は、強制的に日本から追い出されたり、入国できないということは絶対にありません。外国人は永住者であっても、再入国許可がなければ再び永住者としては入国できません。

日本人の配偶者であっても最長で5年の期限があり、日本に居住する期間に期限があります。その期限の延長は可能ですが、日本人の配偶者であれば、配偶者として同居していること、就労資格であれば、適正な職業に就いていることなどがなければ、更新が不許可となり、日本に居住できなくなることもあります。

④親族などの日本への入国と居住

日本国籍者の子、孫などは日本に居住するための在留資格が容易に得られ、生活能力などの条件がある程度審査されるものの、年齢制限などもなく、居住する権利を有しているに近いといえます。

一方で、外国人永住者の子は限定的に居住が許可されています。孫になれば、祖父母が永住者という理由だけでは、滞在資格を得ることはできません。

⑤子どもの日本国籍

日本人の父または母の子であれば、どこの国で出生しても日本国籍を取得できます。

外国人の場合には、日本で子が生まれても、日本国籍をすぐには取得できません。

⑥海外での保護

海外で事故に遭ったり、事件に巻き込まれたりした場合に、日本国籍者に対しては、日本国家が領事館などを通じて救済や庇護をします。

外国籍の者には、日本国はそのようなことを義務としてはいません。

⑦就職

公務員の一部職種には、日本国籍を有する者しかなれません。公権力の行使、または国家意思の形成への参画にたずさわる公務員には、外国籍の者はなれないとされています。

⑧外国人の在留カードの携帯

日本人は、在留カードの常時携帯義務がありません。

⑨日本パスポートの使用

日本のパスポートと外国パスポートでは、渡航できる国やビザの条件が異なります。

日本旅券があれば、世界のほとんどの国に行くことができ、短期ビザの取得を免除されている国も多くあります。

しかし、他の国籍の者で、その所持しているパスポートによっては、入国できない国が少なかったり、単なる観光目的のビザでも、発給が著しく制限されるということがあります。

⑩国際大会への参加

オリンピック、サッカーのワールドカップなどの国際大会には、国籍保有者しかその国の代表としての参加が認められません。

⑪日本企業の外国人保有規制

電波法・NTT法・放送法・航空法などの各業法により、外国人の議決権の割合が一定以上になる場合には、株主名簿又は実質株主名簿への記載を拒否され、株主としての権利を行使できないことがあります。

⑫外国人に対する日本の制度の優遇

留学生入試、奨学金など外国人としての優遇措置を日本国籍者は受けることができないなど、外国籍者のみを対象にした日本の制度を日本人は享受できません。