家事事件

法律相談

私たちは外国人同士の夫婦です。夫婦で15年前に来日し、それ以来、夫婦ともに日本の会社で働いています。3年前には子どもが1人生まれました。今後も家族3人で日本に住み続けたいと思っているのですが、家族3人が一緒に日本国籍を取得することはできるのでしょうか。

 

帰化条件を満たした上で帰化申請を行い、法務大臣の許可を受けることができた場合には、日本国籍を取得することができます。

1帰化制度の概要(普通帰化)

帰化とは、その国の国籍を有しない者(外国人)からの国籍の取得を希望する旨の意思表示に対して、国家が許可を与えることによって、その国の国籍を与える制度です(国籍法4条)。

2帰化の一般的条件

帰化の一般的条件は、次のとおりです(国籍法5条)。

もっとも、これらの条件を満たしていても、必ずしも帰化が許可されるとは限らず、これらの条件は、日本に帰化するための必要最低条件といえます。

その他事実上の要件として、小学校2年生程度の漢字の読み書き能力が必要とされ、帰化の動機書は自署のものを要求されます。

①帰化申請時までに引き続き5年以上、日本に住所(生活の本拠)を有していること(住所条件、国籍法5条1項1号)。

ここで、「引き続き」とありますが、再入国許可を得ての出入国をした場でも、「引き続き」という要件は充足します。
ただ、海外の居住期間のほうが長いときには「住所」を有すると認められない場合があります。

②18歳以上であり、かつ帰化申請者の本国法上も能力者(成人)であること(能力条件、同条項2号)。

③素行が善良であること(素行条件、同条項3号)。

素行が善良であるかどうかは、犯罪歴の有無や態様、納税状況や社会への迷惑の有無等を総合的に考慮して、通常人を基準として、社会通念によって判断されます。

④生活に困るようなことがなく日本で暮らしていけること(生計条件、同条項4号)。

この条件は、生計を一つにする親族単位で判断されますので、申請者自身に収入がなくても、配偶者やその他の親族の資産又は技能によって安定した生活を送ることができれば、この条件を満たすこととなります。

⑤帰化しようとする者が、無国籍であるか、原則として帰化によってそれまでの国籍を喪失すること(重国籍防止条件、同条項5号)。

⑥日本の政府を暴力で破壊することを企てたり、主張するような者、あるいはそのような団体を結成したり、加入しているような者でないこと(憲法遵守条件、同条項6号)。

3帰化条件の緩和(簡易帰化)

日本と特別な関係を有する外国人については、次のとおり、帰化条件が緩和されています(国籍法6~8条)。

(1)日本で生まれた外国人で引き続き3年以上日本に住所若しくは居所を有する外国人や、継続して10年以上日本に居所を有する外国人などは、現に日本に住所を有していれば、住居条件(同法5条1項1号)を備えない場合でも帰化が許可される場合があります(同法6条)。

なお、住所と居所は異なる概念です。

住所は、生活の本拠を意味する法律概念であり、正当な在留資格を有していなければ認められません。

これに対して、居所は、現実の生活の場所を意味する事実概念であり、住所に比して容易に認定されるものですが、やはり、適法な在留資格を有していることは前提となります。

(2)日本国民の配偶者たる外国人で引き続き3年以上日本に住所又は居所を有し、かつ、現に日本に住所を有する外国人や、日本国民の配偶者たる外国人で婚姻の日から3年を経過し、かつ、引き続き1年以上日本に住所を有する外国人は、住居条件及び能力条件(同法5条1項1号・2号)を備えない場合でも帰化が許可される場合があります(同法7条)。

(3)日本国民の子(養子を除く)で日本に住所を有する外国人や、日本の国籍を失った外国人で日本に住所を有する外国人などは、住居条件、能力条件及び生計条件(同法5条1項1号・2号・4号)を備えない場合でも帰化が許可される場合があります(同法8条)

4帰化申請の手続

帰化を希望する場合、通常は、まず法務局にて帰化相談を行い、必要書類に関する指示を受け、必要書類がそろった段階で、帰化申請が受理(受付)されることになります。

なお、実務上、家族単位で帰化申請を行うこと(家族帰化)が原則とされていますが、日本人を配偶者に持つ外国人などが個人単位で帰化申請を行うこと(単独帰化)も認められています。

帰化申請が受理されると、面接調査、追加提出書類の取寄せ、法務大臣による審査等の手続を経て、許可・不許可の最終処分が行われることになります。

初回の帰化相談から帰化申請受理までの期間は、半年以内、あるいは半年から1年以内という例が多いようです。

また、帰化申請受理から最終処分までの期間は半年から1年という例が多いようですが、遅くとも帰化申請受理からおおむね2年以内には最終処分が行われているようです。

5帰化の効果

帰化が許可された場合、官報にその旨が公示され、その告示の日から帰化の効力が生じます(国籍法10条)。

なお、帰化後の氏名や本籍は、原則として帰化者本人が自由に定めることができます。

6本事例について

父母については、「引き続き10年以上日本に居所を有する者」に該当するので、国籍法6条3号により、住居条件(国籍法5条1項1号)を備えない場合でも、帰化が許可される場合があります。

子については、未成年の子が実親とともに帰化を申請している場合、実親の帰化が許可されれば、実務上、その子は国籍法8条1号「日本国民の子」と扱われるので、現に日本に住所を有していれば、同号により、住居条件、能力条件及び生計条件(国籍法5条1項1号・2号・4号)を備えない場合でも、帰化が許可される場合があります。