法律相談
私は外国人女性ですが、昨年、日本で、日本人男性と結婚し、子どもを産みました。先日、市役所で、夫の戸籍謄本をとったところ、自分の名前が妻の欄に載っていませんでした。外国人だと、戸籍の妻の欄に載らないのでしょうか。
また、私の子どもはどうなりますか。
外国人には戸籍はなく、日本人男性の戸籍の身分事項欄に、あなたの氏名等が婚姻事項として記載されています。あなたの子どもは、父親である日本人男性の戸籍に編入されています。
1国際結婚と国籍
日本の国籍法には、婚姻による国籍の取得及び喪失を認めるような規定はありません。外国人が日本国籍を取得するには、帰化によらなければなりません(国籍法4条1項)。
したがって、外国人と日本人が結婚しても、帰化が認められない限り、外国人が日本国籍を取得することはありません。
2国際結婚と戸籍
戸籍は、日本国民の親族的身分関係を登録し、これを公示・公証する公文書です。戸籍により、日本国民の日本国籍と、身分関係の変動が証明されます。
したがって、日本国籍がなければ、戸籍が編成されることはありません。
日本人同士が結婚する場合には、夫婦で新しい戸籍を編成することとされていますが、日本人と外国人が結婚する場合には、その日本人が既に戸籍の筆頭者であるときを除き、日本人の性別にかかわらず、その日本人について新戸籍が編成されます(戸籍法16条3項)。
日本人と結婚した外国人は、この新戸籍に入籍することはなく、新戸籍の身分事項欄に、婚姻届出の年月日、外国人配偶者の国籍、氏名、生年月日が記載され、この記載によって夫婦の婚姻関係が証明されます。
なお、2012年7月9日から「住民基本台帳法の一部を改正する法律」が施行され、外国人住民についても日本人と同様に、住民基本台帳法の適用対象となり、住民票が作成されることになりました。
2013年7月8日から住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)についても運用が開始されています。
日本の国籍を有しない者のうち、①中長期在留者(在留カード交付対象者)、②特別永住者、③一時庇護許可者又は仮滞在許可者、④出生による経過滞在者又は国籍喪失による経過滞在者のいずれかで、市町村の区域内に住所を有するものが対象者となります。
3子の戸籍
日本国籍を取得した子は、日本人の親の戸籍に編入することになります。
婚姻関係にある、日本人父若しくは母と外国人父若しくは母との間に生まれた子は、出生により日本国籍を取得するので、日本人である父若しくは母について編成された戸籍に編入されます。
婚姻関係にない外国人父と日本人母との間に生まれた子も、出生により日本国籍を取得するので、日本人母の戸籍に編入されます。
ただし、父の認知により日本国籍を取得した子については、父母に出生時点で婚姻関係がなければ、胎児認知を受け出生により日本国籍を取得する場合でも、出生後認知を受け届出により日本国籍を取得する場合でも、日本人父の戸籍に編入することはできません。
したがって、戸籍法22条により、子について新戸籍が編成されることになります。
4子の氏
日本人の親の戸籍に編入されている子は、原則として、日本人の親の氏を名乗ることになります。
子に外国人の親の氏を名乗らせるためには、
①日本人の親が、婚姻から6か月以内に、外国人の親の氏に変更しておく方法(戸籍法107条2項)
②戸籍の筆頭者である日本人の親が、外国人の親の氏に変更する旨の許可を家庭裁判所に申し立て、許可を得てその届出をする方法(戸籍法107条1項)、
③子が、氏変更の許可を家庭裁判所に申し立て、許可を得てその届出をする方法(戸籍法107条1項4項)
があります。
①の方法は家庭裁判所の許可はいらず、届出のみでできる簡便な手続です。
②③の方法には、「やむを得ない事由」の要件が必要ですが、外国人の親の氏に変更するのであれば、この要件は比較的認められやすいと思われます。
②の方法の場合、届出時に既に子が生まれていたとしても、日本人の親の氏の変更により、子と親の氏が異なることになるので、子は単なる届出だけで、日本人の親の氏を称することができます(民法791条2項、戸籍法98条)。
③の方法により、子のみ外国人の親の氏に変更した場合には、氏変更の届出により、子は日本人の親の戸籍から除籍され、子について新戸籍が編成されます(戸籍法20条の2第2項)。