日本人の配偶者である、専業主婦の外国人が帰化申請する場合の、条件と提出書類について、具体例でご説明します。
Aさんは、アメリ合衆国の生まれで、30歳の女性です。結婚して、4年間引き続き日本に住んでいて、2歳の日本国籍の娘がいます。夫は、日本人男性(33歳)で、○○株式会社に勤めています。
Aさんが帰化する場合を考えてみます。
6つの帰化の条件
まず、「6つの帰化の条件」について確認します。
①引き続き5年以上日本に住所を有すること
Aさんは、「日本国民の配偶者たる外国人」に該当し、条件が緩和されます(国籍法7条後段)。結婚して4年が経過し、引き続日本に住所を有しているので、問題ありません。
②20歳以上で、本国法によって行為能力を有すること
Aさんは30歳であり、本国法においても成人年齢に達しています。よって、問題ありません。
③素行が普良であること
問題ないものとします。
④生計能力
Aさんは専業主婦で、生計を一にする夫が会社に勤めているので、給与所得があります。よって、問題ありません。
⑤国籍条件
アメリカは、一定要件を満たせば、自由に国籍離脱ができますので、問題ありません。
⑥憲法遵守条件
問題ないものとします。
以上のことから、Aさんは6つの帰化の条件を満たしています。
提出書類
①作成書類
・帰化許可申請書
・帰化の動機書
・履歴書
・宣誓書
・親族の概要を記載した書面
・生計の概要を記載した書面
・自宅勤務先等付近の略図
「宣誓書」は、法務局の担当官の前で作成するので、あらかじめ用意する必要ありません。
②官公署等から取り寄せる書類
・本国法によって行為能力を有することの証明書
翻訳文を添付する必要があります。
・在勤及び給与証明書
Aさんが専業主婦なので、夫の分を用意します。
・最終学校の卒業証明書
・国籍を証する書面
アメリカ合衆国の大使館、又は領事館から国籍証明書を発行します。
・身分関係を証する書面
Aさんの出生証明書を取り寄せ、翻訳文を付けます。又、夫の戸籍謄本、住民票、婚姻時に日本の役所に提出した「婚姻届出証明書」等を取り寄せます。
・住民票、閉鎖外国人登録原票
Aさんの分を用意します。
・納税証明書
夫の分を取り寄せます。Aさんについては非課税証明書を取り寄せます。
・預貯金の現在高証明書、有価証券保有証明書、不動産の登記事項証明書(登記簿謄本)
Aさん及び家族の全員分を、銀行、証券会社、法務局から取り寄せます。不動産や有価証券等がなければ、必要ありません。
・運転記録証明書
Aさんが自動車運転免許証をもっていれば、自動車安全運転センターから取り寄せます。
・公的年金関係書類
年金事務所から取り寄せします。
③手持ち書類の写し
・自動車運転免許証等の技能資格証明書の写し
自動車連転免許証をもっていれば、その写しを用意します。他の技能資格をもっていれば、その証明書の写しも用意します。
・卒業証書の写し
Aさんの最終学校の分の写しを用意します。
④その他
法務局の方から提出・呈示を求められたものがあればそれを用意します。
提出書類のまとめ
それでは、提出書類をまとめてみます。
①帰化許可申請書
②帰化の動機書
③履歴書
④親族の概要を記載した書面
⑤生計の概要を記載した書面
⑥自宅勤務先等付近の略図
⑦本国法によって行為能力を有することの証明書(翻訳文添付)
⑧在勤証明書、給与証明書(夫の分)
⑨卒業証明書
⑩国籍証明書
⑪出生証明書(Aさんの分、翻訳文添付)
⑫婚姻届出証明書
⑬戸籍謄本、住民票(夫の分)
⑭住民票、閉鎖外国人登録原票(Aさんの分)
⑮納税証明書(夫の納税証明書、Aさんの非課税証明書)
⑯預貯金の現在高証明書(預貯金がある場合、Aさん一家全員の分)
⑰有価証券保有証明書(有価証券がある場合、Aさん一家全員の分)
⑱不動産の登記事項証明書(登記簿謄本)(不動産がある場合、Aさん一家全員の分)
⑲運転記録証明書(自動車運転免許証がある場合)
⑳公的年金関係書類(Aさんの分)
㉑自動車運転免許証の写し
㉒卒業証書の写し
㉓その他