受け入れている技能実習生に対して、その企業の社員が暴行を加えた場合、この社員や企業に罰則は加えられないのでしょうか。
技能実習法の個人に対する罰則規定
技能実習法は、技能実習を適正に実施することと、技能実習生を保護するために、違法行為に対して罰則規定を設けています。
上記ケースのように、技能実習生に対する暴力・脅迫・監禁などを行って、技能実習を強制的に実施した場合には、1年以上10年以下の懲役、あるいは20万円以上300万円以下の罰金が科せられるとの罰則規定があります。
したがって、技能実習生に暴行を加えた受入れ機関の企業の社員は、罰則の対象になります。
技能実習法の両罰規定
また、技能実習法が定める多くの罰則には、両罰規定が置かれています。
両罰規定とは、受入れ機関の代表者、代理人、使用人その他の従業員が、技能実習法による罰則規定の対象になる行為をした場合、その行為者に加えて、受入れ機関にも罰金刑を科すという規定です。
そして、罰則規定は両罰規定の対象ですから、上記ケースで暴行行為を働いた社員に懲役刑か罰金刑が科せられると、会社にも罰金刑が科せられることになります。
外出や外部との通信を禁止した場合
上記ケースの他にも、技能実習生に意向に反して、パスポートや在留カードを強制的に保管した場合や、解雇や制裁金などの不利益を与えることを示して、技能実習時間外の外出や外部との通信を禁止した場合には、6か月以下の懲役か、30万円以下の罰金が科せられます(これらの場合も両罰規定の対象となります)。
受入れ機関が必要な許可や届出等を怠った場合
なお、技能実習生に対して不利益を与える以外にも、受入れ機関が必要な許可や届出を怠ったり、主務大臣の命令などに従わない場合も、罰則の対象になりますが、これらの場合は両罰規定の対象外です。