自転車事故には、民事上の責任(対人・対物の損害賠償など)、刑事上の責任(懲役、禁固、罰金など)、行政上の責任(自動車運転免許の停止など)3つの責任があります。
自転車事故には3つの責任がある
従業員が加害者となる自転車事故には次の3つの責任が発生します。
・民事上の責任:対人・対物の損害賠償など
・刑事上の責任:懲役、禁固、罰金など
・行政上の責任:自動車運転免許の停止など
基本的には、自転車通勤における上記3つの責任は従業員が負うことになるため、従業員は交通安全ルール・マナーを遵守するとともに、自転車損害賠償責任保険等への加入が必要です。
また、「使用者責任」が認められた場合は、事業者が対人・対物の損害を賠償することになります。
使用者責任が認められる場合
従業員が加害者となる自転車事故であっても、事業者が民法715条で定める、「使用者責任」を問われた場合、従業員が事業の執行について第三者に加えた損害(対人・対物)への損害賠償責任を事業者が負うことになります。
次の3つの要件をすべて満たしたとき「使用者責任」が認められます。
・従業員が不法行為責任を負う場合
(故意又は過失によって他人の権利または利益を侵害する行為(民法709 条))
・不法行為当時、使用者と被用者に使用関係がある場合
・事業の執行において第三者に損害を与えた場合
「使用者責任」が認められる代表的なケースを以下に示しています。
使用者責任が認められる代表的なケースと判断基準
ただし、事業者は従業員の不法行為に常に責任を負うわけではありません。
以下の要件を立証できた場合は「使用者責任」が免責されます。
・従業員の不法行為が成立しない場合
・従業員の選任およびその事業の監督について相当の注意をしていた場合
・相当の注意をしても損害が生じた場合
「使用者責任」への対策として、従業員が不法行為をおこなわないように、安全管理を徹底するとともに、交通安全教育の実施や自転車の安全点検などを実施することが重要です。