労働関係

法律相談

私は日本に留学した後、日本国内企業に就職した中国人です。私は日本語について特に不自由なことはなく、入社するときも他の社員の方と同じ職務に就くという説明を受けて入社しました。しかし、実際には、簡単で単純な作業ばかりの勤務で、責任のある仕事をさせてもらえません。このままでは仕事を覚えることもできませんし、昇給や昇進もできないのではないかと思います。どうすればよいのでしょうか。

 

相談者だけが正当な理由なく単純作業をさせられるのは、不合理な差別であると考えられます。会社は労働条件や労働契約の内容について理解を促進するよう努める義務があります。また、予定された通常の勤務に就けるように職場環境を改善する義務があります。

1差別的取扱禁止の原則

労基法3条は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱いをすることを禁止しています。

労働条件とは、広く労働者の待遇の条件のすべてを含むと解されています。

したがって、外国人であるからという理由だけで、勤務内容や勤務条件に差異を設けることは原則として許されないのです。

ただし、合理的理由がある場合には、労働条件に差異を設けることは許容されます。

例えば、言語能力の点から可能な勤務内容が限定されてしまう場合に、他の労働者と異なる内容の勤務を行う場合などが考えられます。

もっとも、本事例の場合には、言語能力に問題はなく、かつ他の社員と同じ勤務内容を行うことを条件に入社しているわけですから、単純作業のみさせられているのであれば、労働条件において差別的な取扱いを受けており、雇い元は労基法に違反していることになります。

一方、会社には広範な配転命令権や業務命令権がありますが、差別といった不当な目的があれば、業務命令権の濫用になる可能性があります。

会社には労働条件や労働契約の内容について労働者の理解を深める努力義務があります(労働契約法4条)。なぜ自分だけが単純労働なのか会社に説明を求めることができます。

2どこに相談すればよいか

労働条件で差別を受けている場合などの相談先は、勤務先内の人事部、労務部、法務部、直接の上司など、外部では、労働組合、労働基準監督署、労働局、労働問題に詳しい弁護士などが考えられます。

まず、上司などに、他の方と同じ職務を行う条件で入社したことを確認して、通常の勤務に就けてもらうことを話し合ってみます。勤務先が一定の規模を有していて、人事部・労務部・法務部などが存在する場合、それらの部署に待遇改善を相談することも考えられます。

また、労働組合に相談することが考えられます。労働組合法5条2項4号は、人種などにより、組合員たる資格を奪われないことを規定しており、外国人である場合も日本人同様に、勤務先に組合があれば、これに加入して、会社に対して組合が団体交渉などを行い、改善を図ることが可能になります。

会社内の組合が熱心に活動してくれなかったり、組合が会社になかったりする場合であっても、特定の企業の労働者だけで構成されていない外部の労働組合に、誰でも1人で加盟することができます。そして、その組合を通じて、同様に団体交渉などを行うことができます。

さらに、労働基準監督署、労働局などに相談することが考えられます。相談を受けたこれらの機関は、その申立てに理由があれば、差別的取扱の是正命令を出すことができますので、有効な解決手段として機能します。

本事例の場合、現に差別的待遇が長引き、昇給や昇進に実際に差が生じている場合であれば、被害が具体化しており、労働基準監督署等の行政機関に相談すべき場合であるといえます。

行政機関でなお解決が図られない場合、労働問題に詳しい弁護士などの法律家に相談して、交渉を行ったり、裁判所を利用して労働審判や訴訟により解決を図ることもできます。

差別的待遇はあるが、いまだ被害が具体化していない場合には、被害認定が難しいことから、行政の介入や裁判所の労働審判・訴訟等による解決は、困難なことが予想されます。

そのような場合には、組合への相談や、法律家への相談を通じて、交渉による解決を図ることが適当であると考えられます。

職場における差別には、様々なものがあり、顕在化しにくいものも多いと思われます。しかし、初めに述べたように、誰であれ労働条件は平等でなければならず、外国人であることを理由とする差別は許されないため、以上に述べたいずれかの方法で早期に解決を図るべきです。