家事事件

法律相談

私(A国籍)と夫(B国籍)は、ともに外国人ですが、外国で結婚をした後、夫婦で来日し、以降10年近く日本に住み続けてきました。私たちには、子ども(A国籍)が1人います。ところが、現在、夫婦関係が悪化し、お互い離婚を考えています。仮に、離婚するとした場合、日本で離婚手続をすることはできるでしょうか。子どもの親権などはどのように決めるのでしょうか。

 

日本で離婚手続をすることができます。親権については、親権者の指定に関する準拠法により、A国の法律によって決めることになります。

1離婚の準拠法

外国人夫婦が日本で離婚する場合も、まずどの国の法律が適用されるかが問題となります(離婚の準拠法の問題)。

離婚の準拠法を定めている法適用通則法27条本文は、婚姻に関する25条を準用しており、「夫婦の本国法が同一であるときはその法により、その法がない場合において夫婦の常居所地法が同一であるときはその法により、そのいずれの法もないときは夫婦に最も密接な関係がある地の法による」としています。

本事例では、夫婦の本国法は同一ではなく、一方、夫婦で来日し以降10年近く日本に住み続けていますので、夫婦の常居所地法がともに日本で同一であるといえ、日本の民法が適用されることになります。

そのため、離婚の方式・原因については、日本の民法によることとなります。

2国際裁判管轄

離婚自体や離婚条件に争いがある場合等に、調停手続や訴訟を日本で行うことができるか、国際裁判管轄が問題となりますが、外国人同士の離婚の場合であっても、被告が日本で生活している場合には、問題なく日本の裁判所に国際裁判管轄が認められます。

3親権者指定の準拠法

親権については、親子間の法律関係の準拠法について規定した法適用通則法32条により、子の本国法が父親又は母親の本国法と同じであれば、その国の法律が準拠法となり、その国の実体法に従って親権者の指定がなされることになります。

本事例では、子の本国法(A国)が母親の本国法(A国)と同じなので、A国の法律が準拠法になります。

4各国の法律の調べ方

準拠法がA国法のような外国法の場合、当該国の法律をどのように調べればよいのでしょうか。

この点については、例えば、外務省ハーグ条約についてのホームページには、親権・監護権に関する主要条約締約国の法令情報が掲載されています。

あるいは、大使館等に直接問い合わせるなど、いろいろな調べ方があります。