外国人労働者を看護師あるいは介護職として雇用する場合に、どのような法律上の制限があるのでしょうか?

外国人が看護師として働く場合

外国人労働者を看護師として雇い入れる場合については、外国人労働者の持っている在留資格によって、扱いが異なる点に注意が必要です。

永住者

まず、「永住者」などの就労制限がない在留資格を得ている外国人労働者については、在留期間の制限も気にすることなく、日本で看護師として働くことができます

「医療」の在留資格を持つ外国人が、在留資格を変更して、「永住者」としての在留資を取得する場合についても同様といえます。

在留資格「医療」

次に「医療」の在留資格を得て、5年、3年、1年、3か月のうち、認められた在留期間の中で、看護師として日本で働く場合もあります。

この場合、「医療」の在留資格が認められるための条件として、外国人労働者が、あらかじめ日本で看護師として働くための資格を取得している必要があります。

EPA協定の看護師としての特定活動

また、2国間の経済連携協定(EPA協定)に基づいて、日本で看護師として働くことも可能です。

具体的には、「特定活動」の在留資格に基づき、日本で看護師としての資格取得に必要な知識・技能を修得した上で、資格を取得し、その後引き続き看護師として働き続けることができる仕組みが整えられています。

EPA協定を締結している国としては、インドネシア、フィリピン、ベトナムなどが挙げられます。

外国人が介護職として働く場合

外国人労働者が介護職に就く場合にも、基本的には看護師の場合と同様で、持っている在留資格に応じて取扱いが異なります。

永住者

具体的には、就労制限がない「永住者」の資格を持つ外国人労働者は、在留期間の制限などもなく、介護職に就くことが可能です(「介護」の在留資格から変更許可を得た場合も同様です)。

在留資格「介護」

「介護」の在留資格を得て、日本で介護職に就くケースもあります。

具体的には、5年、3年、1年、3か月のうち、認められた在留期間の中で、日本で介護職に就くことが認められますが、在留資格が認められるための要件として、介護福祉士の資格を保有している外国人労働者が対象になります。

EPA協定の介護職としての特定活動

さらに、看護師の場合と同様に、EPA協定を締結している国の外国人労働者については、「特定活動」の在留資格に基づき、介護福祉士の資格取得に必要な知識・技能の修得から、資格取得後の就労まで継続的に行うことが可能です。

技能実習、特定技能1号

介護分野における人材は、2025年度までに34万人の人材が不足することが見込まれています。不足する介護分野における人材について、外国人労働者によりカバーする方針が日本政府により示されています。

そのために、2017年には「技能実習」の対象職種に介護が加えられ、2019年には新たな在留資格として、「特定技能1号」が創設されました。

特定技能1号は14分野の事業に限って認められますが、介護分野はそのうちのひとつに含まれています。

「技能実習」や「特定技能1号」においては、「介護」の在留資格で要求される、介護福祉士の資格取得が、在留資格取得の要件ではありませんので、より多数の外国人労働者が、介護職に従事することが可能になります。

看護・介護分野で外国人雇用のまとめ

看護師の仕事が出来る在留資格

永住者
医療
特定活動(EPA協定の締結している国の外国人労働者に限る)

介護職の仕事が出来る在留資格

永住者
介護
特定活動(EPA協定の締結している国の外国人労働者に限る)
技能実習
特定技能1号