元日本人の帰化-条件と提出書類
元に本人が帰化する場合の条件と提出書類について、具体例でご説明します。
Aさんは日本生まれの32歳の女性です。韓国人男性と結婚して、韓国籍になりましたが、1年前に夫と離婚しました。そして、現在は日本に戻り、飲食店を営む両親の手伝いをしています。なお、Aさんは両親と同居しています。
このAさんが日本に帰化する場合を考えてみます。
6つの帰化の条件
まず、「6つの帰化の条件」を確認します。
免除される条件
Aさんは、元日本人で、現在日本に住所を有しているので、以下の①~③の条件が免除されます。
①引き続き5年以上日本に住所を有すること
②20歳以上で、本国法によって行為能力を有すること
③生計能力
④素行が善良であること
問題ないものとします。
⑤国籍喪失条件
韓国の場合、外国の国籍を取得すると自動的に韓国籍は喪失することになっています。よって問題ありません。
⑥憲法遵守条件
問題ないものとします。
以上のことから、国籍法の6つの帰化の条件を満たしています。
提出書類
①作成書類
・帰化許可申請書
・帰化の動機書
・履歴書
・宣誓書
・親族の概要を記載した書面
・生計の概要を記載した書面
・事業の概要を記載した書面
・自宅勤務先等付近の略図
「事業の概要を記載した書面に」ついては、両親が営む飲食店業に関して作成します。
「宣誓書」は、法務局の担当官の前で作成するので、あらかじめ用意する必要はありません。
②公者等から取り寄せる書類
・家族関係登録証明書
韓国の場合は「家族関係登録証明書」を取り寄せます。これがあれば原則として、次の書類が準備できたことになります。
・・本国法によって行為能力を有することの証明書
・・国籍を証する書面
・・出生証明書、婚姻証明書、親族(親子)関係証明書
・在勤及び給与証明書、最終学校の卒業証明書、中退証明書、在学学証明書
Aさんは現在家事手伝いで、どこにも勤めていません。
よって、最終学校の卒業証明書(中退証明書)を取り寄せます。
・身分関係を証する書面
・・Aさんが前に日本人であった当時の除籍謄本
・・両親の戸籍謄本
・住民票、閉鎖外国人登録原票
Aさんのものを用意します。
・納税証明書
・・両親の個人事業としての納税証明書
・・Aさんの非課税証明書
・預貯金の現在高証明書、有価証券保有証明書、不動産の登記事項証明書(登記簿謄本)
Aさん及び家族の預貯金、有価証券、不動産について、銀行、証券会社、法務局から取り寄せます。不動産や有価証券等がなければ、必要ありません。
・運転記録証明書
Aさんが運転免許証をもっている場合、自動車安全運転センターから取り寄せます。
・公的年金関係書類
年金事務所から取り寄せます。
③手持ちの書類の写し
・自動車運転免許証等の技能資格証明書の写し
Aさんが運転免許証を有しているのであれば用意します。
他の技能資格があれば、その証明書の写しも用意します。
・確定申告書控えの写し
両親の飲食店業に関する確定申告書の控えの写しが必要です。
・卒業証書の写し
Aさんの最終学校の分の写しを用意します。
・事業に対する許認可証明書の写し
飲食店営業許可証明書の写しを用意します。
④その他
法務局から提出・呈示を求められたものがあればそれを用意します。
提出書類のまとめ
それでは、提出書類をまとめてみます。
①帰化許可申請書
②帰化の動機書
③履歴書
④親族の概要を記載した書面
⑤生計の概要を記載した書面
⑥事業の概要を記載した書面
⑦目宅勤務先等付近の略図
⑧韓国の家族関係登録証明書
⑨封筒(⑧の家族関係登録証明書を韓国から郵送した時もの)
⑩日本語訳(⑧の家族関係登録証明書の分)
⑪卒業証明書
⑫除籍謄本(Aさんの分)
⑬戸籍謄本(両親の分)
⑭住民票、閉鎖外国人登録原票
⑮納税証明書(Aさん一家全員の分)
⑯預貯金の現在高証明書(預貯金がある場合、Aさん一家全員の分)
⑰有価証券保有証明書(有価証券がある場合、Aさん一家全員の分)
⑱不動産の登記事項証明書(登記簿謄本)(不動産がある場合、Aさん一家全員の分)
⑲運転記録証明書(自動車運転免許証がある場合)
⑳公的年金関係書類
㉑自動車運転免許証の写し(自動車運転免許証がある場合)
㉒確定申告書控えの写し
㉓卒業証書の写し
㉔飲食店営業許可証明書の写し
㉕その他