労働関係

法律相談

近所に住む中学生くらいの子ども(外国人)が、学校に行かず働いているようです。私には詳しい事情は分かりませんが、外国人の子どもは、日本人の子どもとは違って、学校に行かないで働くことができるのでしょうか。

 

国籍にかかわらず、児童の労働は例外的な場合を除いて禁止されています。外国籍の児童であっても、これを労働させれば、雇用主、仲介者は処罰されます。

1児童労働の禁止の原則

まず、憲法は児童の酷使を禁じています(憲法27条3項)。

そして、労基法56条1項は、使用者は、満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了するまで、児童を使用してはならないと定めており、例外的に特定の職業についてのみ、行政官庁の許可を受けて児童を修学時間外に使用できるとしています(労基法56条2項)。

これは、ILO第138号条約「就業が認められるための最低年齢に関する条約」に従って、義務教育の標準的な終了時点までは、児童を労働者として使用できないことを原則として定めたものです。

労基法は、国籍や在留資格を問わず、日本で就労しているすべての労働者と使用者との間の労使関係に適用されるものです。

したがって、外国籍の児童も当然に同法に定める「児童」に該当すると解され、使用者・児童の国籍にかかわらず、児童を使用することは原則として禁止されているのです。

これに反し、違法に児童を労働させた使用者は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金を科せられます(同法118条1項)。

このように、国籍にかかわらず、児童を労働させることは原則として禁止されています。

なお、雇用契約が違法無効であったとしても、児童が実際に労働したのであれば、児童の賃金請求権は失われません。

2外国籍児童特有の問題について

外国籍の児童の場合、保護者が厳しい労働環境にあり、不安定な生活状況にあることも少なくありません。

また、経済的な問題、言葉や習慣の問題から就学していない児童も多いものの、この問題に対して関係機関が対応しきれておらず、日本国籍の児童に比較すると、その所在や生活関係、就学状況等を把握できていないのが実情です。

また、外国籍の児童については、児童かどうか一見して判断することが難しいという事情もあります。

このような事情を背景に、外国籍の子どもを雇用する事業主が少なからず存在しています。

児童は、身体的にも精神的にも発達途上にあるため、修学が最優先されなければなりませんし、成人と同じように就労することは、成長段階にある身体に悪影響を及ぼす可能性が高くあります。

特に、外国籍の児童の場合、児童本人だけでなく、その保護者らも日本の法制度について学ぶ知識が限られている可能性もあり、その保護は重要な課題です。

児童労働に気付いたら、援助・保護を行うため、労働基準監督署や市役所等関係諸機関への連絡が必要です。