法律相談
私(外国人)は、今度日本人男性と結婚することになりましたが、前夫との間に子ども(A国籍)がいます。子どもをこの日本人男性の養子とすることができるでしょうか。
また、子どもがまだA国にいる場合、日本に呼び寄せて一緒に住むことができるでしょうか。
日本法に基づいて養子縁組をすることができます。ただし、A国法の定めについても留意する必要があります。呼び寄せる場合は、「定住者」の在留資格あるいは「日本人の配偶者等」の在留資格で入国することができます。
1国際養子縁組の準拠法
異なる国籍の者同士で養子縁組をする場合の準拠法については、養子縁組当時における養親となるべき者の本国法によるとされています(法適用通則法31条1項前段)。
ただし、養子となるべき者の本国法が、養子縁組の成立について、養子若しくは第三者の承諾若しくは同意又は公的機関の許可その他の処分があることを要件とするときは、その要件も備えることが必要です(同条1項後段)。この要件は、講学上、「保護要件」と呼ばれています。
そして、養子縁組の方式については、養子縁組行為の成立について適用すべき法、つまり、養親の本国法によることとし、ただし、養子縁組が行われた場所の法に適合する方法でも有効としています(法適用通則法34条)。
2養子縁組の手続
(1)一般的手続
日本で養子縁組を行う場合には、養子縁組届に必要事項を記載し、養親と養子及び成年の証人2名が署名押印して、市町村長に届け出ます(民法799条、739条、戸籍法66条、25条)。
市町村の役所窓口は、届出の際に養子縁組の要件が備わっているかを審査しますので、
①養親の身分関係の証明として、養親の戸籍謄本又は戸籍抄本、
②養子の身分関係の証明として、養子の年齢等を証明する旅券(パスポート)、出生証明書、身分証明書等、
③養子の本国法に保護要件がある場合には、この要件の具備を証明する書面等の提出が求められます。
保護要件として、養子となる者の本国の裁判所の許可や決定が必要であると定められている場合、養子の本国の裁判所の決定を得て、その決定書の謄本を提出することになりますが、困難を伴いますので、養親又は養子の住所地を管轄する家庭裁判所の養子縁組許可(家事事件手続法161条、別表第1)の審判をもって、養子の本国の官憲の許可又は決定に代える取扱いがなされています【盛岡家審平成2・8・6家月43巻3号98頁】養親の本国法に保護要件がある場合も同様です。
(2)未成年の養子の場合
未成年者を養子にする場合は、本事例のような他方の配偶者の嫡出子を養子とする場合を除き、夫婦で共同して縁組し(民法795条)、家庭裁判所の許可を得る必要があります(同法798条)。
養子となるべき子が15歳未満の場合、その法定代理人である親権者の承諾及び他に監護者がいる場合は監護者の同意が必要です(同法797条1項・2項)。監護者の同意は、同意書を作成するか、養親縁組届の「その他」編に同意する者が同意する旨を記載し署名押印します。
養子と実親との関係を終了させる特別養子縁組の場合は、家庭裁判所の審判によって成立します(同法817条の2第1項)。
原則として養子となるべき子の年齢が申請のときに6歳未満(同法817条の5本文)、養親となるべき者が配偶者のいる25歳以上の者でなければならず(同法817条の4本文)夫婦は共同して養親とならなければなりません(同法817条の3)。
3子どもを呼び寄せる場合の在留資格について
特別養子の場合は、「日本人の配偶者等」(入管法2条の2第2項、別表第2)の在留資格が認められます。
日本人、永住者等の扶養を受けて生活する6歳未満の普通養子である場合には、「定住者」の在留資格が認められます(定住者告示7)。
6歳以上の普通養子である場合でも、「日本人、永住者の在留資格をもって在留する者、特別永住者又は1年以上の在留期間を指定されている定住者在留資格をもって在留する者の配偶者で日本人の配偶者等又は永住者の配偶者等の在留資格をもって在留するものの扶養を受けて生活するこれらの者の未成年で未婚の実子」という要件に該当する場合は、「定住者」の在留資格が認められます(定住者告示6ニ)。