家事事件

法律相談

私は覚せい剤取締法違反(自己使用)で起訴され、第1回公判期日で結審し、判決を控えた身です。初犯ですが、公訴事実は間違いなく、反省しています。
判決後、私は強制送還されてしまうのでしょうか。
刑務所に行かなければならないのでしょうか。
服役を終えた後はどうなりますか。

実刑判決で服役した後はもちろん、執行猶予付き判決の場合でも、釈放後は出入国在留管理局に収容されて強制送還となるのが一般的です。ただし、出入国在留管理局収容後の仮放免が認められる場合もあります。

1判決内容と出入国在留管理局収容の関係

薬物犯罪で有罪判決を受けたことは、退去強制の要件になっています(入管法24条4号チ)が、判決の確定までが必要です。

初犯の覚せい剤使用で、別件や余罪がなければ、執行猶予が付されるのが一般的ですから、判決宣告時には勾留からも解放され、また、いまだ退去強制事由にもあたらないので、収容令書も発付できず(同法39条1項)、身体拘束は解かれます。

判決確定後、出入国在留管理局から出頭を命じる呼び出しが来て、退去強制手続が進められます。

なお、不法残留罪等の入管法違反の罪で執行猶予付きの判決を受けた場合には、判決宣告直後に、そのまま出入国在留管理局に収容されることになります(同法24条4号口)。

これは、出入国在留管理局が独自に不法残留等の退去強制事由を認定でき、刑事手続による事実の確定を要求していないからです。

他方、初犯であっても、別件がある、大量の薬物売買にも関与していた、反省の情が認められないなどの事情がある場合には実刑判決を受ける可能性もあります。その場合には、原則として、日本国内の刑務所に服役することになります。

刑期満了後又は仮釈放後に出入国在留管理局に移送され、強制送還を待つことになります。

ただし、実刑になった後、日本人配偶者や未成熟子が日本にいることなどを重視して、在留特別許可を認めるべきとされた事例もあります【東京地判平成19・8・28判時1984号18頁】。

2受刑者移送条約

ところで刑務所に服役することとなった場合、前記のとおり日本の刑務所で服役することになりますが、日本に生活の本拠がなく、二度と日本に入国する希望もないような場合、日本の刑務所で受刑生活を送らせるよりも、本国において刑に服させるほうが刑に服する者の社会復帰を促進することになるとも考えられます。

そこで日本は、「刑を言い渡された者の移送に関する条約(受刑者移送条約)」を締結し、2003年6月より発効しています。

これにより、この条約を締結している国との間では、受刑者の移送が可能となっています。その手続等について国際受刑者移送法が制定されています。

3仮放免について

服役後、移送先の出入国在留管理局での身体拘束から解放する手段として仮放免があります。