家事事件

法律相談

外国人が当事者になっている事件は、どこの国の法律が適用になるのでしょうか。
また、外国法はどのように調べたらよいでしょうか。

 

法適用通則法の条文を調べて、準拠法を判断してください。外国法は、身分関係であれば木村三男監修「渉外戸籍のための各国法律と要件」I~VI(全6巻)(全訂新版、日本加除出版、2015~2017年)が詳しいです。その他の分野については、インターネットで各国政府の公式ホームページで紹介されている例も多いです。

1当事者による準拠法の選択

法適用通則法7条は、「法律行為の成立及び効力は、当事者が当該法律行為の当時に選択した地の法による。」としています。国際企業間の契約書では、準拠法が必ず定められています。

しかし、当事者による準拠法の選択がない場合はどうでしょうか。

法適用通則法8条1項は、その「法律行為の当時において当該法律行為に最も密接な関係がある地の法による」としています。

具体的にもっとも密接な関係がある地というのがどこなのかは、ケースバイケースです。

ただし、不動産を目的とする法律行為については、不動産の所在地法がもっとも密接な関係がある地の法と推定するものとしています(同法8条3項)。

また、当事者は事後的にも、法律行為の成立及び効力について適用すべき法を変更することができます(同法9条)。

2物権及びその他の登記をすべき権利

動産又は不動産に関する物権及びその他の登記をすべき権利は、その目的物の所在地の法によります(法適用通則法13条1項)。

ただし、その権利の得喪は、その原因となる事実が完成した当時におけるその目的物の所在地法によります(同法13条2項)。

3不法行為

不法行為によって生ずる債権の成立及び効力は、加害行為の効果が発生した地の法によります。

ただし、その地における結果の発生が通常予見することのできないものであったときは、加害行為が行われた地の法によります(法適用通則法17条)。

不法行為について外国法によるべき場合において、当該外国法を適用すべき事実が日本法によれば不法とならないときは、当該外国法に基づく損害賠償その他の処分の請求はすることができません(同法22条1項)。

また、不法行為について外国法によるべき場合において、当該外国法を適用すべき事実が当該外国法及び日本法により不法となるときであっても、被害者は、日本法により認められる損害賠償その他の処分でなければ請求することができません(同法22条2項)。

典型的なのは、懲罰的損害賠償です。

なお、生産物で引渡しがされたものの瑕疵により他人の生命、身体又は財産を侵害する不法行為によって生ずる生産業者等に対する債権の成立及び効力は、不法行為であっても、原則として、被害者が生産物の引渡しを受けた地の法が適用されます(同法18条)。(※生産物責任の特例)

4外国法の調査

外国法は、身分関係であれば「渉外戸籍のための各国法律と要件」が詳しいです。そのほかの分野については、インターネットで各国政府の公式ホームページで紹介されている例も多いです。