入管法はどんな法律?

入管法は、主に、入国・上陸、上陸の手続き、在留・出国、退去強制の手続き、出国命令、日本人の出国・帰国に関する規定から構成されています。入管法は、日本を出入国するすべての人を適用対象にしており、出国あるいは帰国する日本人にも適用されます。

1.入管法はどんな法律なのか?

入管法とは、日本における出入国を行うすべての人を管理するとともに、難民の認定手続きに関して規定した法律です。正式名称は、「出入国管理及び難民認定法」です。

したがって、入管法の内容は、大きく分けて、出入国の管理に関する規定と、難民に関する規定に分類することができます。

このうち難民に関する規定については、「難民の地位に関する条約」を批准するにあたり、難民認定を受けた者の在留に関する規定などが整備されました。

入管法は、主に、入国・上陸、上陸の手続き、在留・出国、退去強制の手続き、出国命令、日本人の出国・帰国に関する規定から構成されています。

入管法は、日本を出入国するすべての人を適用対象にしており、出国あるいは帰国する日本人にも適用されます。

また、来日している外国人の権利を保障する必要があることはもちろんですが、入管業務の公正性・透明性を考慮しながら、不法に日本国内で活動を行っている外国人への規制を徹底しています。

法務大臣には、入国の是非や在留資格付与の有無を決定する権限や、退去強制などの強い権限が認められています。

2.改正入管法の内容

2018年に入管法が改正され、2019年4月1日から施行されています。

特に、急速な少子高齢社会を迎えている日本では、さまざまな産業において、労働力が不足する懸念があることから、人手を確実に確保する必要性が高まっています。

そこで、改正入管法は、十分な技能・知識を持つ外国人について、比較的長期間に渡って、日本で活動するしくみを整えました。

2018年の法改正に限らず、近年の入管法の改正においては、①労働力の不足する業種に関する在留資格の新設、②偽装滞在対策に主眼が置かれています。

たとえば、①在留資格の新設については、2016年の法改正で、在留資格に「介護」が追加されました。

また、②偽装滞在対策についても、2016年の法改正で、在留資格に基づく日本での活動を正当な理由なく行っていない場合には、在留資格の取消し事由に該当することや、場合によっては、入国警備官は退去強制手続きをとることが可能になりました。

2018年の入管法改正のポイント

以下、2018年の入管法改正のポイントを見ていきましょう。

①在留資格「特定技能1号」、「特定技能2号」の創設

2018年の法改正では、新しく「特定技能1号」、「特定技能2号」という在留資格を創設しました。

特定技能1号とは、一定の技能があることが試験などによって担保され、その業務に就業する場合に認められる在留資格をいいます。

特定技能2号とは、さらに熟練した技能などを持っていることが必要な在留資格です。

従来からの技能実習制度や、特定技能1号と合わせることで、10年以上に渡って日本で就業することが可能になります。

②受け入れプロセス等に関する規定

新しく創設した「特定技能1号」、「特定技能2号」に関する「基本方針」を定めるとともに、法務大臣は、日本で人手が不足する分野を所管する行政機関の長(各省の大臣など)と共同で、「分野別運用方針」を策定しなければなりません。

このうち、基本方針は、「特定技能の在留資格に係る制度の適正な運用に関する基本方針について」が閣議決定を経て策定されています。

さらに、分野別運用方針についても、14分野について策定されています。

③外国人の支援体制

「特定技能1号」に該当する外国人を雇い入れる事業主に対して、職業生活、日常生活、その他の社会生活に関する支援計画の作成が義務づけられます。

そして、支援計画を作成した後は、支援計画に基づいて、実際に「特定技能1号」に該当する外国人に対する支援を行わなければなりません。

これに対し、「特定技能2号」に該当する外国人に対しては、以上の支援体制の整備を行う義務はありません。

④受入れ機関に関する規定

「特定技能1号」、「特定技能2号」に該当する外国人と、実際に雇用契約を締結する事業者(受入れ機関)などは、外国人に対する差別的な待遇を行うことが禁止されます。

とくに報酬などについて、他の日本人労働者とのバランスに注意する必要があります。

⑤登録支援機関に関する規定

日本で活動する外国人を、さまざまな面で支援する支援機関が設けられます。

支援機関は、支援に十分な体制を整えているかなどの要件を満たすことで、出入国在留管理庁長官から登録を受ける(登録支援機関になる)ことが可能になります。

⑥届出・指導・助言、報告等に関する規定

出入国在留管理庁長官は、特定技能1号・2号に該当する外国人労働者を雇い入れた事業所や支援機関に対して、指導や助言を行うことができます。場合によっては、立入検査や改善命令を出すことも可能です。

⑦その他の改正点

特定技能1号・2号が新設されたことに伴い、在留資格の認定や就業に至るプロセスの中で、外国人労働者の保護が図られていますが、その他に使途設計としても、外国人労働者を保護するしくみが整えられています。

具体的には、法務省の任務の一環として、「出入国・在留の公正な管理」が明記され、法務省本省の内部部局のひとつとして置かれていた入国管理局が、「出入国在留管理庁」に格上げされました。

出入国在留管理庁は、法務省の外局として設置されているので、ある程度の独立性が保たれています。

また、特定技能1号・2号に関連して罰則が設けられましたが、徹底して公正で透明性の高い出入国管理を達成する上で、非常に重要な点だといえます。具体的には、受入れ機関が出入国在留管理庁長官による改善命令に違反し、あるいは虚偽の届出を提出した場合などに、懲役または罰金の対象になります。

2019年4月施行の改正入管法のまとめ

①新たな在留資格の創設
・在留資格に「特定技能1号」、「特定技能2号」が追加

②受け入れプロセス等
・「特定技能1号」、「特定技能2号」に関する基本方針の策定
・分野別運用方針の策定

③外国人の支援体制
・「特定技能1号」に該当する者に対する支援計画の作成・実施
④受入れ機関に関する規定
・「特定技能1号」、「特定技能2号」に該当する外国人に対する差別的な待遇の禁止

⑤登録支援機関に関する規定
・登録制に基づく支援機関の設置など

⑥届出・指導・助言報告等に関す規定
・受入れ機関や支援機関に対する指導・助言など

⑦その他の改正点
・「出入国在留管理庁」の設置
・罰則の法定化