特定技能外国人を受け入れる企業などは、受入れ機関(特定技能所属機関)と呼ばれ、特定技能1号にあたる外国人労働者の職業生活・日常生活・社会生活について、必要な支援を行う義務を負います。

受入れ機関による特定技能1号外国人への支援

特定技能の資格を持つ外国人(特定技能外国人)を受け入れる企業などは、受入れ機関(特定技能所属機関)と呼ばれ、特定技能1号にあたる外国人労働者の職業生活・日常生活・社会生活について、必要な支援を行う義務を負います(支援義務)。

この支援義務を果たさない場合、出入国在留管理庁から指導・助言・改善命令を受ける他、場合によっては罰則が科されることもあります。

なお、特定技能2号にあたる外国人労働者については、受入れ企業などに対して、支援義務は課されていません。

受入れ機関は、特定技能1号にあたる外国人労働者の在留に関する諸申請の時点で、支援計画を作成しなければなりません。

たとえば、特定技能1号に関する在留資格認定証明書交付申請や在留資格変更許可申請の手続きを行う際には、申請書等の必要書類に添付して、支援計画の提出が求められます。

そして、実際に支援計画に従って、特定技能1号にあたる外国人労働者の支援を行わなければなりません。

支援の内容については、支援計画に定められている内容の確認が重要です。

支援計画において定めなければならない事項は、支援責任者や支援担当の氏名・役職など、
支援の実施について第三者に委託する場合は、その第三者の氏名や住所などを記載します。

また、支援計画の作成などを登録支援機関に委託する場合には、登録支援機関についても記載する必要があります。

実施内容や方法など10項目の記載事項

その他に、省令で定められている事項として、以下の10項目に関する実施内容や方法などを記載する必要があります。

①事前のガイダンス

対象の外国人労働者との間で雇用契約を締結後、在留資格に関する手続きの申請を行う前に、労働条件や日本での活動内容、入国手続きなどに関して、対面形式あるいはテレビ電話などで説明しなければなりません。

②出入国の際の送迎

外国人労働者が空港などから入国する際には、受入れ機関は、事業所あるいは日本での住居まで送迎しなければなりません。

注意が必要なのは、外国人労働者が帰国する際です。帰国時にも送迎を行い、特に空港の保安検査場に入場するまで確実に見届けなければなりません。

③住居の確保など必要な契約の支援

外国人労働者が日本に在留する期間について、居住する住居に関する契約の締結を支援します。

具体的には、賃貸借契約を締結する場合には、受入れ機関が連帯保証人になるか、あるいは社宅などを提供する必要があります。

その他にも、水道・ガス・電気などのライフラインに関する契約や、銀行口座の開設などの手続きについても補助を行う必要があります。

④生活に関するオリエンテーション

外国人労働者が円滑に社会生活を送ることができるよう、日本での生活上のマナーや基本的なルールの説明などを行います。

⑤公的な手続きなどの補助

外国人労働者について、社会保険や税務に関する手続きが必要になる場合があります。その際に、受入れ機関が外国人労働者に同行して、手続きに必要な書類作成の補助などを行います。

⑥日本語の学習機会の提供

外国人労働者の日本語運用能力向上のため、日本語学校などへの入学案内や、教材の提供などを行う必要があります。

⑦相談・苦情に対する窓口の設置

職業生活の他にも、日常生活などに関して、相談・苦情を受け付ける窓口を設置しなければなりません。特に外国人労働者が十分に理解できる言語での対応が可能であることが必要です。

窓口対応は24時間体制とする必要はありませんが、平日3日以上の対応が可能で、土曜日・日曜日のいずれかの対応が可能であることが必要です。

つまり、就業時間以外の機会として相談や苦情を受け付ける時間を確保しているのが重要です。

⑧交流の勧奨など

地域のお祭りなど地域住民との交流の場の案内などを行い、日本人との交流を持つ機会の案内などを行う必要があります。

⑧転職の支援など

受入れ機関などの事情で、外国人労働者との間の雇用契約を維持することが困難な場合があります。その際に転職先のあっせんの他、必要な手続きの補助を行う義務を負います。

⑨定期的な面談や行政機関への通報など

受入れ機関は、支援責任者などを選任します。
そして、支援責任者などは、定期的に外国人労働者や外国人労働者を監督する立場にある者と面談を行い、労働基準法などに違反する事実が判明した場合には、行政機関に対して報告する義務を負います。