法律相談2

法律相談

私は、在留資格「技能」で在留しており、私の子は「家族滞在」の在留資格をもって日本で私や妻と一緒に暮らしています。私の子は、高校を卒業した後、就職を希望しているのですが、就労可能な在留資格を得ることはできるでしょうか。

 

在留資格「家族滞在」のままでは、資格外活動許可を得た上で、週28時間までの就労しかできないので、就職するためには、就労可能な在留資格に変更する必要があります。

お子さんの日本での在留歴や就学歴によっては、在留資格「定住者」や「特定活動」に変更して、日本で就労できる可能性があります。

また、家族で永住許可を受けることができれば、無制限の就労が可能になります。

これらが不可能な場合には、「技術・人文知識・国際業務」などの就労のための在留資格に変更する必要がありますが、多くの場合、学歴や職歴の要件を満たすことが要求されます。

1在留資格「家族滞在」

在留資格「家族滞在」は、「技術・人文知識・国際業務」、「経営・管理」、「技能」など就労を目的とする在留資格や、在留資格「留学」で在留する外国人の扶養を受けて生活する配偶者や子を対象とする在留資格です。

子の年齢に制限はなく、成人後も親の扶養を受けて生活している限り、更新が可能です。

在留資格「家族滞在」の外国人は、原則として就労することができません。資格外活動許可を受けた場合には、週28時間の就労が許されます。

したがって、親と一緒に日本で暮らすために「家族滞在」で来日した子どもは、そのままでは、高校等を卒業した後も、フルタイムの仕事に就くことができません。

2無制限の就労が可能な在留資格に変更するための方法

在留資格「家族滞在」の子どもが、就労可能な在留資格に変更するための方法として、まず、親と一緒に家族で永住許可を受けることが考えられます。

ただし、入管法別表第1の在留資格の外国人の場合、永住許可を受けるためには、原則10年以上の在留が必要とされており、また、審査にあたっては親の収入が安定していることなどもチェックされるので、家族で永住許可を受けることが難しいケースもよくあります。

また、父母等に同伴して日本に在留している外国人の方が、高等学校等卒業後に日本で就労する場合、在留資格「定住者」や「特定活動」に変更し、日本で就労できる場合があります。

まず、以下の要件を満たす場合には、「定住者」への変更が可能です。

⑴家族滞在等から定住者への変更

①要件

・日本の義務教育(小学校及び中学校)を修了していること
※中学校には夜間中学を含みます。

・日本の高等学校等を卒業していること又は卒業見込みであること
※高等学校には定時制課程及び通信制課程を含みます。その他対象となる学校については法務省HPで御確認ください。

・入国後、引き続き「家族滞在」の在留資格をもって日本に在留していること
※「家族滞在」以外の在留資格で在留している方でも、「家族滞在」の在留資格該当性がある方は、本取扱いの対象となります。

・入国時に18歳未満であること

・就労先が決定(内定を含む。)していること
※当該就労先において、資格外活動許可の範囲(1週につき28時間)を超えて就労すること

・住居地の届出等、公的義務を履行していること

また、以下の要件を満たす場合には、「特定活動」への変更が可能です。

②提出資料

・在留資格変更許可申請書(T)(縦4cm×横3cmの写真を貼付)

・履歴書(日本の義務教育を修了した経歴について記載のあるもの)

・日本の小学校及び中学校を卒業していることを証明する書類(卒業証書の写し又は卒業証明書)

・身元保証書

・日本の高等学校等を卒業していること又は卒業が見込まれることを証明する書類

・日本の企業等に雇用されること(内定を含む。)を証明する書類
(雇用契約書、労働条件通知書、内定通知書等。内定通知書に雇用期間、雇用形態及び給与の記載がない場合は、これらが分かる求人票等の資料を併せて提出。)

・住民票(世帯全員の記載があるもの。個人番号(マイナンバー)については省略し、他の事項については省略のないもの。)

※ 申請後に、出入国在留管理局における審査の過程において、この他に資料を求める場合もあります。

⑵家族滞在等から特定活動への変更

①要件

・日本の高等学校等を卒業していること又は卒業見込みであること
※ただし、高等学校等に編入している場合は、卒業に加えて日本語能力試験N2程度の日本語能力を有していることが必要です。

・扶養者が身元保証人として在留していること

・入国後、引き続き「家族滞在」の在留資格をもって日本に在留していること
※「家族滞在」以外の在留資格で在留している方でも、「家族滞在」の在留資格該当性がある方は、本取扱いの対象となります。

・入国時に18歳未満であること

・就労先が決定(内定を含む。)していること
※当該就労先において、資格外活動許可の範囲(1週につき28時間)を超えて就労すること

・住居地の届出等、公的義務を履行していること

②提出資料

・在留資格変更許可申請書(U)(縦4cm×横3cmの写真を貼付)

・履歴書(日本の高等学校等への入学日の記載のあるもの)

・日本の高等学校等の在学証明書(入学日の記載のあるもの)

・高等学校等に編入した者については、以下のいずれかの資料
・・日本語能力試験N2以上
・・BJTビジネス日本語能力テスト400点以上

・扶養者を保証人とする身元保証書

・日本の高等学校等を卒業していること又は卒業が見込まれることを証明する書類

・日本の企業等に雇用されること(内定を含む。)を証明する書類
(雇用契約書、労働条件通知書、内定通知書等。内定通知書に雇用期間、雇用形態及び給与の記載がない場合は、これらが分かる求人票等の資料を併せて提出。)

・住民票(世帯全員の記載があるもの。個人番号(マイナンバー)については省略し、他の事項については省略のないもの。)

※ 申請後に、出入国在留管理局における審査の過程において、この他に資料を求める場合もあります。

3「永住者」・「定住者」・「特定活動」への変更が不可能な場合

上記のいずれかの在留資格への変更が許可されない場合、フルタイムでの就労をするには、入管法別表第1の就労のための在留資格のいずれかに変更をする必要があります。

しかし、「技術・人文知識・国際業務」の場合、大学又は専門学校等を卒業して、学んだ内容と関係のある仕事に就く必要がありますし、「介護」の場合は介護福祉士の養成施設を卒業し、介護福祉士の資格を取得して介護施設に就職する必要があるなど、ほとんどの在留資格で学歴や職歴の要件が定められています。

「経営・管理」で自分で事業を経営する場合には、経歴についての要件はありませんが、一定以上の規模の事業を営む必要があるなどの要件があります。

いずれについても、高等学校を卒業したばかりの若者が、要件を満たすのは通常は困難であるので、進路選択にあたっては、どの仕事をめざし、どの在留資格を取得する必要があるのかをよく考える必要があります。