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外国の国際運転免許証を使って日本で運転をすることができるのは、日本上陸から1年間とされており、それ以降も日本で運転するためには、日本の運転免許証を取得する必要があります。外国の免許を受けている場合には、日本の運転免許証を取得するための試験の一部が免除されます。

法律相談

私(外国人)はおよそ1年前から日本に住んでいます。来日前に取得した国際運転免許証を使って、日本で自動車を運転することはできるでしょうか。
また、国際運転免許証が使えない場合には、日本の運転免許証を取得することも考えていますが、どうすればよいのでしょうか。

 

国際運転免許証を使って日本で運転をすることができるのは、日本上陸から1年間とされており、それ以降も日本で運転するためには、日本の運転免許証を取得する必要があります。
外国の免許を受けている場合には、日本の運転免許証を取得するための試験の一部が免除されます。

1国際運転免許証を使って日本で運転することができる場合

日本で運転するためには、①日本の公安委員会の運転免許証、②道路交通に関する条約(ジュネーブ条約)に基づく国際運転免許証、③国際運転免許証を発給してはいないが政令で定めた国(現在はエストニア、スイス、スロベニア、ドイツ、フランス、ベルギー、モナコ、台湾)の外国運転免許証のいずれかを所持している必要があります(道路交通法64条、84条、107条の2)。

③の国の運転免許証を持っている場合を除き、来日前に国際運転免許証を取得するか、来日後に日本の免許証を取得しないと、日本では運転できないことになります。

そして、②の国際運転免許証や、③の外国の免許証については、日本において運転できる期間が、日本に上陸した日から1年間又は当該免許証の有効期間のいずれか短い期間と決められています。

ただし、住民基本台帳に記載されている者が出国から3か月未満のうちに帰国した場合には、当該帰国の日を「上陸した日から1年間」の起算日とすることはできません。

つまり、いったん帰国して、国際運転免許証の再給付を受けて日本にトンボ帰りする、ということはできない規定になっています。

上陸した日から1年間を超えると、たとえ国際運転免許証の有効期間が残っていても、日本で運転することはできず、運転をすると道路交通法違反(無免許運転)になりますので注意が必要です。

なお、国際運転免許証は、日本国内で更新することはできません。

2日本の運転免許の取得方法

国際運転免許証や外国の運転免許証によって日本において運転できる期間を過ぎた後、日本で自動車の運転をしようとするのであれば、日本の運転免許証を取得する必要があります。

日本人と全く同様に学科試験・実技試験を受けて取得することももちろん可能ですが、学科試験の問題は、各都道府県公安委員会が作成しており、外国語の試験問題を作成していない場合や、外国語での受験が可能であっても英語だけというケースが多いので、日本語が得意でない外国人にとってはかなりハードルが高いのが現状です。

しかし、来日前に本国で免許証を取得している場合には、より簡単な方法があります。

外国免許の日本免許への切替え手続と呼ばれているもので、有効な外国の免許を受けており、かつ、免許を受けた後、当該外国に滞在していた期間が3か月以上ある場合に、その免許で運転することができる自動車等に関する日本の免許を取得する場合は、申請によって、運転免許試験の一部について免除を受けることが可能とされています(道路交通法97条の2第2項)。

この場合の学科試験は、通常の学科試験よりも簡単な上、外国語の試験問題も用意されています。どの外国語の試験問題が用意されているかは都道府県によって異なりますが、日本人と同様の試験を受ける場合よりもはるかに選択肢が多いのが通常です。

3運転免許と在留資格

在留資格がないことは、法令上、運転免許保有の欠格事由や取消事由等にはなっていません。

したがって、非正規滞在の外国人が、日本で運転できる期間内の国際運転免許証を所持している場合や、有効期間内の日本の運転免許証を所持している場合には、自動車を運転したとしても、道路交通法違反にはなりません(もちろん、運転中に警察官に免許の提示を求められた際に非正規滞在であることが発覚すれば、入管法違反で処分を受けることにはなります)。

日本の運転免許の取得や、外国の運転免許を日本の免許に切り替える手続についても、在留資格を必要とする明文はありません。

ただし、手続上、旅券(パスポート)によって滞在期間を確認し、また、住民票等により住所を確認するため、在留資格がない人が手続をすることは困難です。

もっとも、在留資格がなくても、仮放免許可を受けている人については、一般的な要件を満たせば手続は可能です。

実務上、入管手続の状況によって、今後、長期にわたって日本に滞在する見込みがないなどとして、窓口で手続を断られる場合があるようですが、必ずしも明確な法律上の根拠なく拒否をしている可能性があるので、断られた場合には、なぜだめなのか、手続を拒否する根拠を法律の要件に即して明確にするよう求めるとよいでしょう。