日常生活2

法律相談

私(外国籍)は、日本人の夫と離婚をして、親権者として、子どもを日本で養育するつもりです。現在無職で、元夫からの養育費も払われないため生活保護を受給したいのですが、可能でしょうか。

定住外国人に対しては、日本人に準じた生活保護の取扱いを実施する運用がなされており、生活保護要件にあてはまれば受給資格が得られます。

1生活保護の外国人への適用・準用

法律が、生活保護の対象をすべての「国民」(生活保護法1条)と定めていることから、外国人の生活保護受給権は、法律上の権利としては認められていません【最判平成26・7・18訟月61巻2号356頁】。

しかし、運用通達(「生活に困窮する外国人の生活保護の措置について」昭和29・5・8社発382号)によって、日本人に準じた保護の取扱いがなされていました。

具体的には、生活保護申請をしている外国人が、①外国人登録を行っており、かつ②要保護者状態にある場合には、受給資格が得られていました。

ところが、1990年10月25日生活保護法を準用するのは、在留資格を有する者のうち①入管法別表第2の在留資格を有するもの(永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者の在留資格を有する外国人)、
②入管特例法の特別永住者、③入管法上の難民に限るという、(旧)厚生省口答指示が出されました。

この指示に従えば、入管法別表第1記載の在留資格を有する外国人については、生活保護法の準用がないことになります。

本事例については、相談者が既に永住者の在留資格を有している場合はもちろん、日本人の配偶者等の在留資格を有している場合も、離婚後に定住者への在留資格変更が可能なケースのため、生活保護申請が可能です。

離婚後に日本人の配偶者等の在留資格から定住者への変更申請をする際、生活保護受給者であることが不利益に取り扱われないかを心配する方がいますが、本事例のように、日本人の子を養育しているケースでは、生活保護受給者であっても、定住者への変更は認められています。

なお、生活保護を受けるためには、要保護者状態にあることが必要であり、本人の能力、家族(扶養義務者)の助力をもってしても、最低生活を維持することが難しい場合、保護が適用されます。

2在留資格のない外国人の場合

在留資格のない外国人については、原則として生活保護は受けられないこととされています(非正規滞在者を保護の対象としていない生活保護法は憲法25条、14条1項に違反しないと判断した判例として、【最判平成13・9・25判夕1080号83頁】)。

しかし、在留特別許可が得られる見込みが高いと判断される場合や、在留資格の取得申請をしていること、又は取得申請を準備している場合には、先行して生活保護を受けられる場合もあります。

また、外国人夫妻のうち一方だけに在留資格があり、夫婦が既に別居している場合においても、生活保護の適用世帯が(在留資格のない夫を含まない)妻のみであると解釈し、生活保護決定が出される場合もあります。

いずれの場合においても、在留資格のない外国人が生活保護を受けることは現状においては相当に困難といえます。

これは、健康保険の受給資格の問題とも関連しますが、医療扶助が受けられないことによって、在留資格のない外国人に深刻な被害をもたらすことが
あります。

その場合の方策としては、社会福祉法人などが行う無料又は低額医療事業の利用、行旅法に基づく制度の利用、地方自治体による医療費補填事業の利用が挙げられます。