外国人留学生のアルバイトや卒業後の就職活動についてご説明します。
法律相談
私は、在留資格が「留学」である外国人大学生ですが、日本でアルバイトができますか。また、卒業後に就職活動はできるのでしょうか。
資格外活動の許可を受ければ、アルバイトをすることができます。
卒業後は、「特定活動」の在留資格に変更することにより、最長1年間、就職活動をすることができます。
また、大学を卒業後、就職活動により内定を得た外国人は、一定の条件のもと、「特定活動」の在留資格で就職するまでの間、最長1年6か月(ただし、内定後1年以内)在留することができます。
1外国人留学生のアルバイト
在留資格が「留学」である外国人は、資格外活動の許可を受けることで、アルバイトをすることができます。
資格外活動許可
資格外活動許可は、
①就労が認められない在留資格を持って在留する外国人が、本来の在留目的とする活動と合わせて就労活動を行おうとする場合、
②就労活動を目的とする在留資格をもって在留する外国人が、本来の在留目的とする活動と合わせてその在留資格に該当しない就労活動を行おうとする場合に、
受ける必要があります(入管法19条1項)。
資格外活動許可は、本来の在留資格に属する活動を主たる活動として維持することを前提として、与えられるものなので、本来の在留資格に属する「活動の遂行を阻害しない範囲内で」、「相当と認めるとき」に付与され(同法19条2項)、これに該当するか否かは、個々の案件ごとに、具体的な事情に基づいて判断されます。
実務的には、留学生(専ら聴講による研究生及び聴講生を除く)からアルバイトをするために資格外活動の許可申請があった場合は、時間及び稼動先に関する一定の制限の下に、一律かつ包括的な許可が付与されるという取扱いが行われており、その申請は、原則として管轄の地方出入国在留管理局に、本人又は取次者が申請書を提出して行います。
在留資格「留学」で新規入国する場合(在留期間「3月」の場合を除く)には、入国した空港の出入国在留管理局で申請をすることもできます。
資格外活動許可が認められると、旅券に証印シールが貼付され、在留カードにも要旨が記載されます。
資格外活動の「時間制限」
時間の制限は、原則として、1週について28時間以内であり、教育機関の長期休業期間(夏季休業、冬季休業及び春季休業として当該教育機関の学則等により定められているものをいう)にあっては、1日について8時間以内とされています。
資格外活動の「稼動先の制限」
稼動先の制限としては、いわゆる風俗関係の仕事、すなわち「風俗営業若しくは店舗型性風俗特殊営業が含まれている営業所において行われるもの又は無店舗型性風俗特殊営業、映像送信型性風俗特殊営業、店舖型電話異性紹介営業若しくは無店舗型電話異性紹介営業に従事するもの」は除かれます(入管規則19条5項1号)。
「留学生の家族」の資格外活動
留学生の家族(「家族滞在」の在留資格を持って在留する者)についても、風俗関係の仕事を除き、週28時間以内の就労活動を行うことについて、包括的に資格外活動が許可されます。
かかる許可なくアルバイトをした場合で、就労活動を「専ら行っていると明らかに認められる者」は、退去強制手続の対象となり(入管法24条4号イ)、3年以下の懲役若しくは禁錮若しくは300万円以下の罰金に処せられます(併科含む)(同法70条1項柱書、4号)。
また、「専ら行っていると明らかに認められる者」でないときでも、退去強制手続の対象とはならないものの、1年以下の懲役若しくは禁錮若しくは200万円以下の罰金に処せられます(併科含む)(同法73条)。
2外国人留学生の卒業後の就職活動
外国人留学生が卒業した場合には、「留学」の在留資格に該当しなくなるので、当該在留資格での在留期間の更新はできません。
もっとも、出入国在留管理局では、大学又は専修学校専門課程を卒業した留学生が卒業後に就職活動を行っていて、かつ卒業した教育機関の推薦がある場合には、「特定活動」への在留資格変更を許可し(在留期間6か月)、さらに1回の在留期間更新を認めることにより、最長1年間の滞在を可能とする措置を講じています。
さらに、その間に内定したときには、企業において採用されていることを明記した文書(採用時期、報酬契約期間、予定される活動内容など)の提出を条件として、「特定活動」の在留資格を許可し(就職活動とは指定内容が異なるため、あらためて在留資格変更手続が必要)、実際に就職するまでの間(内定後1年を超えない期間に限り、かつ、卒業後1年6か月以内に限る)の在留を認めることとしています。
なお、これらの資格での在留期間中においても、留学中と同様、資格外活動許可を受けることにより、一定の制限のもと、アルバイトを行うことができます。