在留管理制度

法律相談

私(外国人)は日本人と結婚して5年が経ったので、日本の永住権をとりたいと希望していますが、手続について教えてください。

永住許可申請をして許可を受ける必要があります。

1「永住者」の在留資格

入管法別表第2には「永住者」という在留資格があります。

「永住者」の在留資格は、日本に一定の在留資格を持って滞在する者のうち、永住許可を申請した者に対して、法務大臣が永住を許可した場合に得られることになります(入管法22条)。

アメリカ合衆国のように、外国に居住している者に対して永住権を与えるということはなく、はじめから永住を目的としての日本への上陸許可はあり得ないことになります。

永住許可の要件は入管法22条2項に定められていますが、それによると、法務大臣は永住許可申請があった場合、申請者が、
①素行が善良であること、
②独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること、
の2つの条件を満たし、
かつ「その者の永住が日本国の利益に合すると認めたときに限り」これを許可する(同条2項)ものとされています。

ただし、日本人や永住者の配偶者や子の場合、上記①②の条件はともに不要とされ(入管法22条2項ただし書)、また難民認定を受けた者については上記②の条件が不要とされています(同法61条の2の11)。

永住者は他の在留資格と異なり、在留期間が無期限であり、日本における活動には制限がありません。永住許可がなされた場合には新たに在留カードが交付され、交付の時に許可の効力を生じます(同法22条3項)。

なお、永住者であっても退去強制事由(同法24条)に該当する場合は退去強制の対象となります。ただし、その場合も、「永住者」であることをもって、在留特別許可の対象となり得ることが明文で規定されています(同法50条1項1号)。

2「永住者」の資格該当性

現在の出入国在留管理局の実務上の取扱いは、公表されている法務省の「永住許可に関するガイドライン」(以下、「ガイドライン」という)でおおよそを知ることができます。

これによれば、日本人や永住者の配偶者であり、その婚姻関係が実体を伴うもので、引き続き1年以上日本に居住している場合には3年以上、「定住者」在留資格で滞在している場合には5年以上経過すれば、永住許可が認められることが多くなっています。

それ以外の例えば、「経営・管理」「技術・人文知識・国際業務」といった在留資格の場合には、相当長期間(10年以上)の滞在が必要とされています。

ただし、「高度専門職」に該当する外国人については、一定の要件を満たす場合に3年以上又は1年以上の在留で足りるとする優遇策があります。

また、「外交、社会、経済、文化等の分野において日本への貢献があると認められる者」については、5年以上の在留で足りるとされます。

さらに、地域再生法に基づく地域再生計画において明示された同計画の区域内の公私の機関に所属する外国人研究者等が、日本への貢献があると認められた場合には、3年以上の在留で足りるとする優遇策もあります。

ガイドラインでは、原則として、現在有している在留資格の最長の在留期間を許可されていることを要求しています。ただし、2012年7月施行の入管法改正に伴う施行規則の改正により、多くの在留資格に「5年」という在留期間が新設されたことに伴い、当面は、在留期間「3年」を許可されていればよいものとされています。

3従来の在留資格での在留期間との関係

永住許可申請は、従来の在留資格から「永住者」という在留資格への変更を求める申請ですから、在留資格変更許可申請の特殊な場合ともいえるものです。

そのため、ある在留資格に基づく在留期間が満了する以前に永住許可申請をしても、その申請の効果として日本に在留することはできず、現在の在留期間が満了すると非正規滞在になってしまいます。したがって、永住許可申請を行う場合にも、在留期間が満了するときには、必ず元の在留資格での在留期間更新許可申請を別にしておかなければなりません。