外国人が「短期滞在」以外の在留資格で入国しようとする場合、日本に在住する代理人を通じて、事前に在留資格認定証明書を取得するのが一般的です(入管法7条の2)。

事前に在留資格認定証明書を取得するのが一般的

外国人が「短期滞在」以外の在留資格で入国しようとする場合、日本に在住する代理人を通じて、事前に在留資格認定証明書を取得するのが一般的です(入管法7条の2)。

そして、日本で交付された在留資格認定証明書を送ってもらい、これを添付して、外国人の居住する日本の在外公館に対し、査証(ビザ)の発給を申請します。こうして取得した在留資格認定証明書と査証を持って、日本に上陸(入国)することになります。

手続的には、在留資格認定証明書の添付なしに査証申請をすることも可能ですが、その場合には、査証申請を受けた在外公館から外務省を通じて、法務省に申請書類が送付され、法務省が審査をした上で、査証交付の可否が決められることになり、時間が余計にかかってしまったり、査証発給が拒否されることもあるため、合理的ではありません。

現在、「短期滞在」以外の在留資格での入国については、多くが在留資格認定証明書の申請・交付によっています。

在留資格とビザの違い

なお、一般的な用語として、在留資格の取得や在留期間の更新を指して、「ビザを取る」「ビザの延長をする」などといわれることがありますが、法律的には、ビザ(Visa、査証)と在留資格(Status of Residence)とは異なるものです。

ビザ(査証)とは、外国にいる外国人が在外日本領事から発給を受ける、日本に入国しようとする外国人の入国及び滞在が差し支えないことの判断を示すものです。

査証免除の場合を除き、有効な査証を有することは日本への上陸の条件であって、これがないと原則として上陸(入国)は許可されません(同法6条1項)。

ただし、有効な査証があっても、その他の上陸拒否事由(同法5条)があれば、上陸は許可されず、在留資格が認められないこともあります。

各在留資格の認定証明書交付の要件は、上陸審査の場合と同じですから、入管法別表、基準省令を参照することになります。

また、当該在留資格の認定において必要とされる資料は、入管規則別表第3に列挙されています。

在留資格認定証明書交付申請の代理人

「短期滞在」の在留資格で日本に在留中の場合等を除き、申請の際に入国を希望する外国人が日本国内にいないことから、在留資格認定証明書交付申請は、日本にいる代理人を通じて申請することになります(入管法7条の2第2項)。

代理人となり得る者は、入管規則6条の2及び入管規則別表第4に定められています。

受け入れ側である学校、企業などの機関の職員(職員個人が代理人となる)や申請人の親族が代理人となることができます。

また、入国管理局に届出をした弁護士や行政書士は申請取次者として、資料を提出することもできます(入管規則6条の2第4項)。

在留資格認定証明書交付と査証申請

在留資格認定証明書交付申請を受けた地方出入国管理局長は、基準省令の定める上陸審査基準該当性が認められ、かつ入管法5条1項に定める上陸拒否事由(1年以上の有罪判決を受けたことがある、麻薬大麻等の取締りに関する法令に違反して刑に処せられたことがある、過去に退去強制を受け再上陸拒否期間を経過していないなど)に該当すると認められなければ(同規則6条の2第5項)、在留資格認定証明書を発行します。

申請代理人が在留資格認定証明書の交付を受けたら、これを入国を希望する外国人のもとに送り、その外国人はこれを添付して、在外日本領事館で査証(ビザ)の発給を受けます。

査証発給の際にも、在留資格認定証明書交付申請と同様の添付資料の提出を求められることが多いので、在留資格認定証明書交付申請の提出資料は、査証申請に備え予め2通作成しておくとよいでしょう。

査証申請に必要とされる提出資料は、各在外公館で異なりますので、直接各在外公館に確認する必要があります。

日本に入国

そして、その外国人が日本にやって来て入国(上陸)する際、在留資格認定証明書と査証を提示すると、他の上陸拒否事由がなければ、在留資格認定証明書と同じ在留資格、在留期間で滞在が認められることになります。

在留資格認定証明書は、交付の日から3か月以内に、査証とともに入国審査官に提出して上陸の申請を行わないと失効するため、来日のスケジュールとの関係で注意が必要です(同規則別記第6号の4様式参照)。

在留資格認定証明書交付申請に対して不交付処分がされた場合

なお、在留資格認定証明書交付申請に対して不交付処分がされた場合、法律的には取消訴訟(行訴法3条2項)を提起して争うこともできますが、実際には、不交付処分の理由を出入国在留管理局に問い合わせて確認し、問題点を解決した上で、再度申請を行うのが現実的な対応といえます。