外国人の在留期間延長、または他の在留資格に変更する場合についてご説明します。
外国人が在留期間を延長するには、期間内に在留期間更新許可申請をして許可を受ける必要があります。在留資格の変更も同様に在留資格変更許可申請をして許可を受ける必要があります。
1在留期間更新と在留資格変更
在留期間更新
日本に在留している外国人が、在留期間を経過した後も、日本に同一目的を持って滞在することを希望する場合には、在留期間の更新を申請することができます(「在留期間更新許可申請」入管法21条1項)。
「永住者」「高度専門職2号」は、在留期間が無期限であり、「外交」の場合も特定の期間が定められていませんが、それ以外の在留資格で滞在する外国人は、一定の在留期間ごとにその更新をすることが必要となっています。
在留資格変更
また、ある在留資格で日本に滞在する外国人が、日本にいるままで、他の在留資格への変更を申請することもできます(「在留資格変更許可申請」入管法20条1項)。
例えば、
留学生が大学卒業後に日本で就職するために、
・留学の在留資格から「技術・人文知識・国際業務」などの就労可能な他の在留資格へ変更する場合、
・日本人の配偶者が離婚後も日本にとどまって日本人との間の子を育てるために「定住者」への資格変更を申請する場合
などです。
2申請手続
「在留期間更新許可申請」と「在留資格変更許可申請」は、居住地を管轄する地方出入国在留管理局、支局又は出張所に入管規則所定の申請書(各地方出入国在留管理局及び支局・出張所で用紙の交付を受けられるほか、法務省出入国在留管理局のホームページからもダウンロードできる)とともに旅券、在留資格証明書等と在留資格該当性等を疎明する資料を出入国在留管理局に提出して行います。
在留期間が満了してしまった後に、在留期間更新や変更の申請をすることは原則としてできないため、十分に注意することが必要です。
「在留期間更新許可申請」は、期間満了のおおむね3か月前から申請することができます。
「在留資格変更許可申請」は、資格変更を必要とする事情が発生した際に変更すべきもので「いつまでにする」ということはありません。
また、変更許可申請が不許可となった場合は、直ちに現在の在留資格が失われるものではありませんが、在留資格取消(入管法22条の4)の対象になる可能性があるので、注意が必要です。
3申請書類の提出
在留期間更新や在留資格変更が許可されるためには、更新、変更した後の在留資格該当性のあることが前提となることは当然ですが、それは「当該外国人が提出した文書により」判断されるものとされており、上陸許可の場合と同様に、申請に対する許否の判断は申請者の提出した資料により判断されるものとされています。
更新、変更申請に際して、申請者が提出すべき資料については、入管規則別表に定められていますが、これしか提出できないということではなく、法務省出入国在留管理局のホームページでは、在留資格ごとに添付すべき書類として、これ以外の書類も含めて具体的に記載した案内を掲載しています。
東京出入国在留管理局の取扱いでは、更新許可申請があると、受理番号(例えば東京入国管理局での就労を目的とする資格の更新申請であれば「東労E○○号」)の記載された申請受付票とともに、在留カードに申請中である旨を記載して返還します。
追完すべき書類がある場合は、その場で、又は後日手紙で追完が指示されます。
結果については、後日、ハガキ等での連絡により出入国在留管理局に呼び出されて告知されます。
4許可処分の裁量性について
在留期間更新、在留資格変更許可申請は、法文上「相当の理由があるとき「に限り」許可されるものとされており(入管法20条3項、21条3項)、その趣旨は、許否の判断が法務大臣の裁量行為であることを意味するとされています。
もっとも在留資格該当性(及び多くの在留資格では、より具体的な基準を定めた基準省令に適合していること=「基準適合性」といわれる)が、法規の定める要件を充足していることだけが求められる羈東行為であるため、更新や変更許可申請に際しては、その時点での在留資格該当性、基準適合性が再確認されるに過ぎません。
ですから、変更許可や更新許可の許否の判断が裁量行為とされる具体的な意味は、上陸してから許可申請までの、日本における在留状況、活動実績を考慮することができるということを意味するものと解されます。
例えば、以前の在留期間中に犯罪行為を犯した場合や、「経営・管理」の在留資格で中華料理店を経営していた者が超過滞在者を雇用したとして在留期間更新が認められなかったというような実例があります。
一般的に考慮される事情は、法務省出入国在留管理局の発表する「在留資格の変更、在留期間の更新許可のガイドライン」に示されています。
申請中に在留期間が満了する場合
更新、変更許可申請が受理され許否の決定がなされないうちに在留期間が満了してしまった場合でも、決定があるか、従前の在留期間の満了の日から2か月を経過するまでは、特例期間として在留を続けることができ、非正規滞在になるわけではありません(同法20条5項、21条4項。ただし、従前の在留期間が30日以下の場合はこの制度が適用されないため、後日、許可になったときにさかのぼって申請中の在留資格を与える手当がされています)。
申請中の出国・再入国
また更新、変更申請中であっても、現在の在留期間が満了するまでであれば、後記の再入国許可又はみなし再入国許可を利用して出国し、帰国することができます。
在留期間更新許可申請や、在留資格変更許可申請が不許可となっても、現在有する在留資格(在留期間)に影響を与えるものではありません。